見た目がすべて・・・番外編
見た目がすべて・・・とまではいかなくても、見た目でかなり判断できる検査があります。超音波エコーによる診断です。
ヒトの場合は超音波エコーによる検査・診断の歴史が長く、十分な臨床データの蓄積と豊富な経験則から、肝臓の病変などは専門医では、エコー上での観察だけでかなりの精度で腫瘍のタイプまで判別できるという話です。
一方獣医学の分野では、エコーが普及してまだ20年くらいなのでデータの蓄積量が十分でなく、残念ながら、まだまだ見た目がすべて・・・とまではいきません。(もちろん、見た目で即診断が下るものもありますが)。
そこで汎用されるのが、「超音波ガイド下バイオプシー」という技術。はやい話が、エコーのディスプレイ上で特定の臓器や病変を確認しつつ、同時に針を刺してその組織を採取して病理診断にまわすという方法。
イメージとしては、イラク戦争における米軍のピンポイント爆撃に近いものがあります。エコーで目標を定め、キーボードにあるバイオプシーのボタンを押すと、ディスプレイ上に捕らえた目標に向かって目標までの誘導ラインが現れます。
目標までの深度と距離を確認したうえで、今度は定められた角度で体の中心に向かって慎重に針を刺して行く。太い血管や門脈などに当りそうなときは、改めて針を入れる部位を少しずらして出血を回避。最終的に目標に達したら、バイオプシー機器のボタンを素早く押す。これで完了。これを考えた人はほんとうにアタマがいいと思う。
最近は学会などで画像診断といえばCTやMRIばかりですが、個人的には超音波エコーによる検査好きです。エックス線のように被爆を心配することなく、何度でも確認出来ますからね。