当院を支えている医療機器の一部を紹介します。!
外科や救急に必要な生体モニターです。
これも汎用機器で、かつ麻酔管理の必需品。
初代が8年前に断線トラブルで壊れてしまい、
これは2代目。
麻酔管理は大学卒業以来ずっと興味を持ち続け
個人的に研鑽を重ねてきた分野であり、
長らくライフワークの一環でした。
飼い主さんにお見せすることはありませんが、
手術の安全性を担保する裏方として、
生体モニターは非常に大切な機器です。
ところで生体モニターには、新型コロナで有名になった
酸素飽和度(SPO2)の測定機能も必ずありますが
この酸素飽和度(SPO2)測定、じつは1970年代、
一人の日本人技術者による発明でした。
その際特許の申請はしなかったらしいのですが、
これってノーベル賞ものの発明じゃないでしょうか。
ハンディータイプの血液ガス分析装置(2代目)。
血液検査機器の中では使用頻度は必ずしも
多くはありませんが、血液の酸塩基平衡を
確認するには、この機械でしか見れません。
非常に鋭敏な検査系であり、救急医療では
必須の機材。治療に対してもごく短時間で鋭敏に
反応するので、自分の治療介入が正しかったのか、
自己点検する意味においても非常に重要な機器
だと考えています。
もともとはかなり大きな機器なんですが、
据置きタイプは大きすぎるので、
精度の高いハンディータイプを使っています。
ちなみに獣医療の救急で「三種の神器」といえば
1)生体モニター
2)超音波診断機器
3)血液ガス分析装置
犬猫に多発する内分泌疾患を診断するために
導入された、複数のホルモンや微量蛋白を
短時間で測定する機器。
ヒト以上に甲状腺疾患や副腎の疾患、CPSSが
多発する獣医療の世界では、ベッドサイドでの
迅速診断が不可欠。
猫の急性相蛋白(SAA)も測定可能であり、
猫の日常診療には欠かせないと感じています。
ちなみに猫のSAA,犬のCRPなど、動物の分野に
おける急性相蛋白の研究・測定技術では、
日本は世界のトップランナーです。
一度に5つの検体を設定できる最新の生化学装置。
緊急時の割り込み検査もスムーズにこなす優れモノ。
今までの機器は一度に1つだったので、苦労しました。
この機器を製造している富士フイルムの技術力は
本当にすごいと思います。
汎用機器のひとつで酷使されるため、これも今回3代目。
検査中もカバーを開けて内部の動きが観察出来て、
見ているだけでも楽しい機器です。
完全無欠ならぬ完全無血の手術を可能にする
COVIDIEN社製の手術機器。
電気メスの機能に加えて、デバイスも豊富、
そして導入目的のひとつ、シーリング機能
(直径7㎜までの血管なら組織コラーゲンで
ごく短時間に閉じて切離する)を有しています。
結果、手術侵襲による出血は最小限に抑制。
獣医師にとって、小さな動物を対象とする手術は、
出血量の少ないだけでも安心感が違います。
もともとはヒトのラパロ(腹腔鏡)手術用として
開発・設計されているものですが、
この高い技術性能は、間違いなく
当院の手術の安全性に一役買っています。
Olympus製の動物用消化管内視鏡。
異物摘出はもちろん、組織生検にも大活躍!
エックス線やCTやMRIといった画像は
基本的にモノクロの世界なのですが、
内視鏡の世界はカラーなので見応えがあり、
生体内は本当に感動的です。
ちなみに動物はヒトよりも食道が長いぶん、
動物用内視鏡もこれに合わせて長め。
たしかに長いけど、画面が大きく見易いせいでしょうか、
操作性もよく、慣れるとその長さを感じさせません。
内視鏡を考えた人は本当に偉いと思います。
動物用内視鏡で最も長いのは同シリーズの
馬用もしくは海獣(イルカ)用の3m。
当院開業から数えて3代目の超音波診断装置です。
2022年3月から運用していますが、今回は
総合病院の中央検査室などに選択されることの多い、
高級機種アリエッタ750(術中プローブを含む4本)
を導入しました。
循環器から腹部臓器、眼科、整形に至るまで多機能対応、
また画像の美しさが際立っており、私のお気に入り。
ヒトとは異なり、動物ではエコーは患者さんの協力を得られる
ことが少なくて、獣医師にとってもストレスの多い検査ですが、
一瞬であってもきれいな画像を保存できたり、あるいは
短時間でデータ収集ができる本機はありがたい存在。
ちなみにアリエッタとはイタリア語でそよ風の意味ですが、
一方オペラやカンタータの中で歌われる独唱(小曲)のこと
でもあるみたい。
音響技術を応用した医療機器、即ち超音波診断機器に
このネーミング、とってもいいですね。