今日はミニチュアダックスのクレバーちゃん(♀・3歳)が激しい嘔吐を主訴としてやってきた。飼い主さんいわく、「噴射状に戻してしまう!」、とのことで、来院当初は幽門の狭窄か幽門痙攣を想定して手術の準備までしておりましたが、しつこいくらい徹底的に検査をしてみたら、なんとこれが「嘔吐」ではなく「吐出」。

「嘔吐」と「吐出」は一見似ていますが、実はまったく異なる仕組みです。

「吐出」を実際の画像で確認すると、極度の食道拡張があって(巨大食道もしくは食道憩室)、まだ胃に達する前の食事内容が食道にたまっており、これを受動的に吐いている状態。

ただ、ミニチュア・ダックスの巨大食道はじつは重症筋無力症による症状のひとつであることがあり、診断には他の犬種に比べ細心の注意が必要です。

さいわいクレバーちゃんの全身状態は必ずしも緊急を要するほど衰弱していないので、しばらくは定石どおりの「立位の食事」で様子をみることになりますが、ゆくゆくは大学での詳細な検討が必要になるかもしれません。

それにしても、ミニチュア・ダックスは扱いの難しい病気が多いですね。