美味しいクスリ

ここ2~3年、動物用医薬品の世界では、「おいしい薬」が流行っています。

心不全や関節炎の治療薬から始まって、ノミ・マダニ等外部寄生虫の予防駆虫薬(今年の春、フロントラインに対抗して発売開始)にいたるまで、その内容は実にさまざまですが、基本的に長期投与が前提となる薬剤に適用される傾向があるみたい。

いやがる薬を飲ませるのは飼い主さんにとってもストレスになりますが、喜んで飲んでくれたら治療効果も上がるうえに飼い主さんからも喜ばれるので、これは処方する獣医師にとってもオイシイ話だと思います。

これらの美味しい薬、基本的にフレーバー錠と称してわんこやにゃんこの好む味や匂い(お肉味とかバナナ風味など)を加えてあるだけすが、中でも極めつけは蜂蜜風味の鎮痛剤(液体)。

これは猫専用の鎮痛剤ですが、桁違いに嗜好性がいいんです。あまりにも嗜好性がよくて、これをほしいがために、お座りして口を開けるにゃんこもいるという。

ためしに私も一なめしたところ、驚きました!蜂蜜風味どころか限りなく本物の蜂蜜に近い味!そうか、猫も蜂蜜好きなんだ!

一瞬にして永谷園の松茸のお吸い物を思い出しました。松茸を原材料にまったく含まないにもかかわらず、あのお吸い物は本物以上に松茸の香りがする!
おそるべし化学のチカラ。