今年も残すところあとわずかとなりました。
清水寺で発表された今年の漢字は「金」だと話題になっていますが、
当院が今年の漢字ひとつをあげるなら、「刺」でしょうか。

医学の世界で「刺す」といえば、すなわち「穿刺術」のこと。
具体的にあげれば、腹腔穿刺(腹水を抜く)、
胸腔穿刺(胸の水を抜く)、心嚢穿刺(心臓に貯まった水を抜く)、
脊髄穿刺(脳脊髄液を検査のために抜く)、といった医療行為。

今年はなぜかこの「穿刺術」が必要なことが非常に多かった。
今年最後の仕事にも胸腔穿刺がからんできそう。

ところでこの「穿刺術」、けっこう太い針をプスプス刺すので
飼い主さんはかなり驚かれるのですが、
もちろん体の中の臓器の構造や位置関係を熟知した上で行っているので、
リスクは最小限です。

また、胆嚢や心臓を穿刺するときは、
事前に安全な部位をエコーなどで確認してから行いますので
事故はありません。

ただ、胸やおなかに水がたまる状況というのは
基本的に重い病気ですから、治療する側としては心理的に
けっこうきついものがあります。

どうか来年が動物たちにとって、よい年でありますように!