医師を選ぶも寿命のうち・・・?
今日はマルチーズのピーチちゃん(14才・♀)がやってきた。
飼い主さんいわく、「最近いよいよおしっこの出方が悪く、とうとう昨夜からは好きなドックフードも食べなくなってしまった」とのこと。
困りましたね、これは。言い知れぬ不安がアタマをよぎりました。
早速診察するも、ピーチちゃん、診察台の上でも見るからに体調が悪そうな様子。
聞けば、自宅近所(=とはいっても、隣町になりますが)のA動物病院を以前受診してエコー検査を受けた際、「膀胱結石による膀胱炎」を指摘されて、今日まで治療してきたものの、一向に症状が改善せず、さすがに心配になって病院を変えて当院に来たらしい。
飼い主さん自身が「膀胱結石による膀胱炎」の診断を疑っている様子はありませんが、再確認のため当院でもエコー検査を実施したところ、なんと結石ではなく(=結石はまったく見当たらない!)、明らかな腫瘍性病変が確認されました。
膀胱頚に浸潤したその様子から、まず移行上皮ガンは間違いないと思われますが(=現在病理の結果待ち)、エコーで診るかぎり、移行上皮ガンの末期的ともいえる深刻な状況に唖然としました。
本当に参りましたね・・・、これは。
A動物病院を信じて通院してていたのに、エコー検査まで受けながら、ガンを結石と見誤られ今や手遅れ、治療の極めて困難な状態。
もちろん同業者について批判的なことは言いたくありませんが、この状況は正確に言わざるを得ないだろうと思い、正直に現状を説明しました。
すべてを話した後の、飼い主さんの悲しそうな顔が瞼に焼き付いて、今も忘れられない・・・。
もし私が逆の立場だったら、間違いなく号泣したと思う。(T_T)
ああ、こうなる前に診てあげたかった。
こうなった以上、私にできることはなんでもしてあげようと思う。