たて続けにわんこの帝王切開を行いました。
昔から「犬の安産」というけれど、これも犬種によりきりで、少なくとも短頭種、例えばブルドックやボストンテリアは難産が当たり前。
というか、帝王切開以外では無理というのがこの世界の常識。
なぜ無理なのかは、以前NHKの「いのちドラマチック」で、分子生物学者の福岡伸一先生が力説していたので、一般の方でも知ってる人は知ってるみたい。
ちなみに今回の患者さんはボストンテリアとフレンチブルドック。もちろん典型的な短頭種。しかも、いずれも胎仔がひとつだけで、そろいもそろってハイリスク患者。
ワンコの場合、出産24時間前になると顕著に体温低下が認められるのですが、胎仔数が少ないケース(=1頭)では、基本的に胎盤から分泌される分娩を誘起するホルモンも少ないため、目安の体温低下が明確になりません。
というわけで、体温が当てにならない以上、エコー画像上の胎児の大きさと胎児の心拍数を基準に、もっとも母子ともにリスクの少ない時を見つけて手術に踏み切りますが、これが結構難しい。
もっとも、私はアマノジャクで難しければ難しいほど気合が入るタチなので、手術自体は嫌いじゃありません。今回も無事終えることが出来て本当によかったと思う。
「帝王切開はけっして珍しい手術ではありませんが、かといって他の外科手術と比べて数が多いものでもありません。それだけに、臨床家としての腕の良し悪しがはっきり見て取れると思う。」・・・・・ある有名な教授のコメントです。