TV報道によれば、外人さんのマナー違反から一時休止していた築地市場の見学を再開したとか。喜ばしいことです。市場の雰囲気にはある種独特のものがありますからね~(^・^)。

私も学生時代、築地市場と北部市場(川崎市)によく通いました。といっても買出しではなく、あくまで検体採取(=腸内細菌の採取)が目的。とくに大量に仕入れたのはマコガレイ・コノシロ(コハダ)・セイゴ(スズキ)・イワシの4種類。当時は検体の採取という本来の目的をあらわにするといやな顔をされることもあって、あくまで「すし屋の大将の代理」みたいな顔をして朝の4時から市場を闊歩していました。

検体購入後は鮮度の高いうちに研究室でさばくわけですが、検体として使う部分は消化管のみ、本来のおいしい身の部分は全く必要ありません。かといって、捨てるにはもったいない・・・。そこで身の部分はいつも研究室の同級生や先生方に焼いたり煮付けたりして出していました。

これが意外に好評!研究室から予算を頂いているだけに、隣近所の研究室まで出向いて出張料理教室までこなし、そりゃ大判振る舞いでした。基本的にセイゴなどの高級魚は教授・助教授・講師までで、安いイワシは後輩中心に出していました(^_^)。こんな生活をしばらく続けていたら、なんと白いごはんを炊いてホイホイ出迎えてくれるツワモノ(=同級生)まで現れました。

ただ、イワシだけは安くて箱単位でしか購入できず、大漁(?)すぎて捌き切れなくて困りました。1箱20匹くらいは入っているんですが、実際に使うのは数匹程度。市場には平均週2回出撃してその都度ゲットするわけで、月によっては100匹以上余ってしまうのです。さすがの私も料理しきれない・・・。そのため研究室の冷蔵庫があっという間にイワシだらけ。当時助手のT先生には、二言目には、「おい、菊池、冷蔵庫なんとかしてくれ!」と言われたものです。

その一方で、海がシケて、セイゴなんてぜんぜん獲れないときもあって参りました(>_<)。そんな時魚病学のS先生に相談すると、きまって、 「1年くらい船に乗っちゃいなよ。海はいいもんだよ~。」 と涼しい顔してのたまうのです。 学生ですからいくら時間に余裕があるといったって、卒業を控えて、おまけに国家試験まで控えている私には到底無理(@_@;)。 ちなみにS先生は魚類生理学の専門家で、なんと検体採取(魚の眼球と自律神経の研究)のために数年間漁船に乗せてもらった経験者。最初は冗談と思っていましたが、く話してみると意外や意外の本気印。さすがS先生、スケールが違うと心底感心したものです。 その後S先生は魚類生理学の第一人者となられ、今は名古屋大学大学院教授。やっぱりS先生はスケールが違う。今期ノーベル賞を受賞されたオワンクラゲの下村先生にも通じるところがありそうなのだ。