今日は吸入麻酔の誕生日。今から160年ほど昔の1846年10月26日、人類史上初の吸入麻酔薬による手術がマサチューセッツ総合病院にて行なわれました。このときの麻酔担当医は有能な歯科医にして有名な詐欺師とうたわれたDr.モートン。これ以降人類は手術時の無用な痛みから解放されたわけですが、それ以前の手術は無麻酔で患者を押さえつけてやっていたとか。怖い話しですね。手術の痛みに耐える自信がなくて、手術を前に自殺に走る人も多かったようです。吸入麻酔の発明は人類にとって、動物にとってまさに福音。
ところで当時の吸入麻酔薬といば気化したエチルエーテル。あの吐き気のする不快臭、どう考えてもカラダにいいとは思えない・・・。でも当時の最先端がエチルエーテル。もっともこれ以前に笑気を試みた人もいたようですが(1800年頃)、医学とは関係なくトリップ目的でいかがわしい人種がワインパーティーなどで乱用していたとか。
ちなみに現在の吸入麻酔薬の主役はヒトではセボフルレン、獣医科領域ではイソフルレン(=フォーレン、国内)もしくはデスフルラン(海外、国内未発売)であり、当然エーテルは用いられていません。でも笑気は現在でも重宝されています。吸入麻酔の歴史は160年そこそこですが、人類と笑気の付き合いは200年になるそうです。