トラちゃんの入院 その①

秋の行楽シーズンを向かえ、ワンコとともに紅葉を楽しむ方も増えています。そんななか、観光中に突然の食欲不振を訴えたワンコ、バーニーズのトラちゃん(29kg、♂、11ケ月月齢)がやってきた。

若い女の人が大好きみたいで、来院した際には病院のスタッフに喜んで飛びついて腰を振っていました。(*^_^*)
ホントに病気なのかな、と思いつつも触診では明らかな腹部圧痛を認めたので、念のためレントゲン撮影をしてみたら、お腹に極少量の液体が溜まっています!いけませんね、これは。念には念を入れて、エコーをかけてみても、やっぱり極少量の液体が溜まっています。やばいなこりゃ、腹膜炎です。年齢的にガン性腹膜炎は考えにくいので細菌性腹膜炎と仮診断を下し、緊急手術に入りました。

レーザーメスで止血しつつ慎重にお腹を開けてみたら、マスクをしているのにもかかわらず、ものすごい腐敗臭!スタッフ全員思わず瞬間的に仰け反りました。やっぱり典型的な細菌性腹膜炎でした。お腹の中を精査したところ、なんと幽門から十二指腸に移行するまさにその部位に直径2mm大の穴が開いていました。ここから腸管内容物と胆汁が漏れて腹膜炎を生じたようです。この穴を見つけてほっとしました。この部位を適切に処置すれば救命の可能性がグンと高まる!

ところでなぜ、こんなところに穴が開いたんだろう?患部に潰瘍は無いし異物も認めない、ただ、以前から異物摂取の悪癖はあったようで、術後飼い主さんとお話した際は、こちらの説明にいちいち納得されていたので、きっと思うところがあったのでしょう。