椎間板ヘルニア・・・その②

きょうはミニチュアダックスの海老蔵ちゃん(♂・3歳・obey
! )がやってきた。数日前に電話で相談があった子で、「下半身に全く力が入らない、おしっこもままならない・・・」とか。

聞けば発症したのは3週間前で、近くの病院で椎間板ヘルニアの可能性を指摘され投薬を受けていたものの、改善の兆しもなく、さじを投げられた格好。

やばいな、こりゃ。本当に椎間板疾患とすれば、時間的な経過から手術のタイミングを逸している可能性が高そう。確実な回復を願うなら、理想的には急性期から24時間以内が手術の適期。

実際検査で確認すると、T13-L1間・L1-L2間に椎間板の逸脱による神経圧迫(椎間板のヘルニア)が認められました。ここって、ダックスの椎間板ヘルニアの70%はこのエリアに発生するといわれる「超危険領域」。なんと海老蔵ちゃんは典型例にはまっている!

こうなってしまった以上、回復の可能性を期待できる治療は外科手術しかありませんが、麻痺の経過が長いだけに、たとえ手術がうまくいっても、神経機能が十分に回復しない(=後足の麻痺や膀胱の麻痺等後遺症が残る)可能性も考えられます。もちろん前述のキャバリアちゃんのように、処置が早けりゃ回復の可能性も高いのですが・・・。

海老蔵ちゃんの場合、発症時期を考慮すると現段階で手術での機能回復はどう贔屓目に見ても50%以下といったところでしょうか・・・。(>_<) こういうケースはどんなに細部にわたって説明を受けても、飼い主さん自身判断に苦しむところと想像しますが、獣医師側としても本当に本当に悩むところです。 なぜなら、時期を逸した椎間板ヘルニアの手術は、骨折の整復手術のように、飼い主さんに対して「手術の成功=完全な機能回復」を約束できませんから・・・・。かといって、諦めるには実に惜しい状態。 海老蔵ちゃんの今後が心配・・・。(-_-;)