今日は日本小動物がんセンター病院のセンター長である小林先生の講演を聴講するため、新宿まで行ってきました。小林先生といえばオンコロジー(獣医腫瘍学)の米国専門医、先生いわく近年の統計では犬猫ともに死因のトップはガンであり、特に犬の場合その半数近く(=47%)をガン関連死が占めるという。ちなみに猫では32%に達するとか。
いずれにせよ、ガン治療は私たちのような臨床家にとっては今後ますます避けて通ることのできない深刻な問題。

ところで私たちが汎用する抗がん剤の一種に、サイクロフォスファミドというお薬があります。臨床の現場で絶大な信頼を得ているお薬ですが、このお薬の前駆物質メクロレミタン(現在発売中止)開発には歴史があり、元来化学兵器として有名なマスタードガスから化学的に誘導されたもの(薬理学的にはナイトロジェンマスタードという一群に分類されます)。‘毒をもって毒を制する‘という化学療法剤の作用機序を見事なまでに体現しています。
毒と薬は紙一重なんですね。