獣医眼科学講義の2日目。
講義の内容もさることながら、質疑応答の時間が大変面白い。いわゆる「裏ワザ・裏話」がわんさか出てくるのである。

眼科に限らず現在診療で用いられる医薬品はそのほとんどが基本的に定められたガイドラインにしたがって適正使用されます。いわゆるエビデンス(=医学的根拠)に基づく使用です。
その一方で、適用外使用されるものもわずか存在しており、本来の使用方法を医師の裁量で変更して処方されます。

このような場合はもちろん飼い主さんの十分な了解なり合意を得た上での投薬になりますが、内容が内容だけに学術論文やテキストに載ることはまずありません。ところがこの手の処方が非常に効果をあげたとなると、学会や講習会の中で誰言うともなく「内輪の話・ここだけの話」として話題になるのです。

この「適用外使用」、ちょっとイリーガルな響きからとにかくネガティブにとらえられがちですが、薬剤の化学構造や性質を考えると医学的に理にかなっているものが多く、けっしてバクチではありません。個人的には「示唆に富む内容も多く無視できない」と感じています。

ところでこの適用外の使用に際しては、やはりというか当然と考えるべきか民族性が顕著に現れるようで、その頻度から欧州>米国>日本の順になるという。日本人獣医師はヨーロッパ各国の獣医師に比べるとかなり慎重とか。治療の難しい疾患に対し積極的にトライしてなんとか治してあげたいと思う一方で、今の世の中リスクの高い医療行為には手を出しにくい・・・そんな複雑な本音が透けて見えた気がしました。