朝から続けて2頭、異物摂取で腹膜炎の一歩手前のわんこがやってきた。最初のワンコは球状のプラスチック樹脂性異物が十二指腸下部にて閉塞を起こし、次のワンコはサランラップがヒモ上に撚れて糸状異物になって空腸がアコーデオンのヒダ状に変位。やばいな、こりゃ。状況が状況だけに2頭とも早々に手術になりましたが、この手の手術がいちばんキツイ。

避妊や去勢のように全身状態が良好でなおかつ完全に手術手技が定まっていれば安全性も高く安心できますが、一方今回のようなケースでは、事前のレントゲン検査などで一応お腹の中の状態は分かっていても、予想外の事態(=穿孔による腹膜炎や捻転・重積の併発)が発生している事があります。それでも獣医師である以上、「予想外の事態」にも「想定の範囲内」として対応せねばならず、麻酔の導入から手術終了に至るまで一秒たりとも気が抜けません。特に消化管の縫合はわずかな漏れも許されませんから、仕事の後は精魂尽き果てるといった感じになります。(>_<) ところでそれなりの注意と時間を要する消化管の縫合を一瞬(わずか1秒!)にしておこなう医療器具があります。一般に”ステプラー”と呼ばれるもので要は”医師向け消化管専用ホチキス”です。モノがモノだけに本体もタマも非常に高額。もちろんヒト用でツールマニアの私も2種類持っていますが、なにせ大きい、大きすぎなんです。大型犬にはなんとか使用できても、中型犬・小型犬にはまず大きすぎて使用不可能。 だれか小型犬にも使えるようなモノを開発してくれないかなア・・・。そうなれば消化器外科が少しはラクになるんだけど・・・。