今日は大野先生(=東大内科准教授)の講演を聴きに、都内まで出かけてきました。大野先生の講演はいつもながら盛況で、人気の理由はなんといっても、最新の知見を踏まえて建前ではなくホンネで講演してくれること。

たとえば従来の学術書などでは慎重を期して
「疾患Aの診断にX線検査はさほど有効でない」と記載されるところ、大野先生の講演では、はっきりと
「疾患AにX線検査はほとんど無意味」、
さらに
「ここはエコー検査が勝負を分ける!」
とまで言い切ってしまう。

ところでホンネを話してくれるという意味では、整形外科で有名な○山先生も人気があります。○山先生はあくまで個人的な質問に答える形でしか教えてくれませんが、親しくなると、さまざまな手の内を披露してくれます。桁違いの臨床経験に裏打ちされているだけに、その内容がためになります。
たとえば、ある手術に際し、

「神経Aと神経Bは命がけで保護しなればならない。傷つけると術後重い後遺症が残るから。」

「神経Cと神経Dは出来るだけ保護すべき、ただし、もし誤ってダメージを与えても、術後障害を生じる可能性は低いから動揺しないこと。」

「神経Eは保護するに越したことはないが、最悪切れても臨床上障害は生じない。思い切って仙腸関節にスクリューを打ち込むべし!」
といった調子ですべての指示が極めて明快。

単なる医学知識や情報の収集だけならテキストを読めばよく、わざわざ手間暇かけて遠くまで出かける必要はありませんが、このように「生きた知識」を吸収できることこそ、学会参加の醍醐味だと思う。