いま私たち開業獣医師の最大の関心事といえば、麻酔薬ケタミンの麻薬指定の一件です。厚労省は不良外人等による薬物乱用を封じ込めるために、このケタミンを麻薬指定にするとのコメントを突然発表(正式決定はまだまだ先の話ですが)。
ケタミンは’解離性麻酔薬’と呼ばれるだけあって、ある程度の用量ではヒトで幻覚を生じることがわかっています。現在人医の世界では小児外科等限られた状況で使われている様子でさほど危惧する声は無いようですが、一方動物の世界ではこれを使用しない動物病院は日本中に一軒もないと断言できるほどの汎用薬だけに、多くの動物病院が混乱することと思われます。ネコはもちろんネコ科の猛獣であるトラやライオンやヒョウすらも安全・確実に眠らせる麻酔薬ケタミン。手を出せない凶暴なノラネコを眠らせるのに今後はどうしたらいいのか、ちょっと悩んでいます。
それにしても、今まで薬物乱用なんて私にとって異次元の話かと思っていましたが、職務上そのあおりを受けるとは驚きです。