みなさん、「絶食は罪」というコトバをご存知ですか?
ここ数年獣医の世界で流行っているフレーズです。

かつて獣医内科学の講義では、パルボウイルス感染症(出血性胃腸炎)
や急性膵炎のような激しい嘔吐を伴う消化器疾患に対しては、
「まずは絶食から始めよ、絶食は立派な治療である」
と習いました。

ところがここ数年で治療に関する見解が逆転。
嘔吐を伴う疾患に対しては積極的に薬で嘔吐を止めて、
「できるだけ早く消化管から栄養を与えましょう!」
とのこと。

絶食をして中心静脈・末梢静脈から血液中に栄養を補給するよりも、
特別な理由がない限り、できるだけ消化管を使って栄養補給した方が
回復が早く死亡リスクも低減できるとか。
要するに、
絶食は基本的に避けなければなりません、
安易な絶食は治療の妨げになり、リスクを高めます、
絶食せざるを得ない状況なんて、実際の臨床では極めてまれ、
絶食は罪です、
というお話。

このような流れは人医学でも獣医学でも10年くらい前からあったようですが、
定着してきたのは、獣医に関しては3~4年前から。

大学で学んだ見解が獣医学の進展に伴って改まることは多々あるけど、
ここまで変わることは本当に珍しい。