2023年が始まりました。

年の初めには毎年目標を定めていますが、今年の目標は
「TIVAを極める!」
でいこうと思います。

一般には全くなじみのないコトバですが、
要するに麻酔方法の一種です。

全身麻酔には大きく分けて、
①吸入麻酔(麻酔ガスによる麻酔)と、
②全静脈麻酔(静脈から持続的に麻酔薬を入れる=TIVA)
の2つがあります。
当然使用する機器も下の画像のごとく異なります。

動物医療の世界で広く実施されているのは吸入麻酔ですが、
麻酔深度調整が容易な半面、手術中の低血圧を招きやすく、
吸入麻酔ガスは環境汚染やスタッフへの暴露から
問題点も少なくない麻酔です。

一方、全静脈麻酔は文字通り静脈から麻酔薬を持続的に入れて
麻酔状態を作り出しますから、環境汚染はゼロ、医療者の暴露もゼロ、
しかも血圧低下が少なく、なんと言っても麻酔覚醒が極めて穏やか。
この「覚醒の良さを味わうがためにTIVAを選択することが多い」、
と説く麻酔科医の講演を聴いたことがあります。

実際、専門医が全幅の信頼をよせるだけのことはあり、
高齢動物や全身状態の悪化した動物においてこそ
TIVAの真価がいかんなく発揮されます。
そう、じつに良いことづくめなんです。(*^_^*)

ただし、難点としては、
①吸入麻酔に比べて、麻酔計画がやや複雑であり、
②麻酔濃度の調整がガス麻酔のように容易でないこと。

ヒトでは、脳波をモニタリングすることでTIVAの麻酔深度判定を
しているようですが、動物では脳波による術中モニタリングは
現実的ではありません。

そんな状況がしばらく続き、
TIVAは麻酔専門医が好む方法ではありましたが、
一般の獣医師からみたらマイナーな存在でした。

ところが、近年麻酔薬の血中濃度変化を
経時的にグラフ化してくれるミュレーションソフトが登場
(=iphonやiPadに手軽にインストール出来る!)、
TIVAの安全性が高まり、注目されています。

事前のシミュレーションで麻酔効果を予想できる・・・。
いいですね。
これで間違いなくTIVAの安全性・有効性が担保されるでしょうし、
なんてすばらしい世の中になったんだろう!(^^)/
これを診療に取り入れないわけにはいきません。

というわけで、TIVA、
じつは私、今までも少しずつ取り入れていたのですが、
今年からはより一層、
「麻酔からの覚醒の穏やかさ(=覚醒の質)」
にこだわってみたいと思います。