今日は風邪をこじらせたにゃんこがやって来た。
飼い主さんいわく、
「かれこれ5日は食べていない (+_+) 。」
これ以上の絶食が続いてしまうと、
「肝リピドーシス」という、
ネコ科動物特有の代謝性疾患(肝臓病)に
至る可能性が格段に高まります。


そうなる前に、確実に体力を回復させる目的で、
麻酔下で左側頸部に食道カテーテルを設置しました。

この管(=カテーテル)を設置すると、
本人(本猫?)の意思とは関係なく、
高カロリーの栄養剤を適時胃内に入れられるので、
とっても効果的です。

実際、食道にカテーテルが留置されていても、
体調が回復してくれば普通に食事もとれますし、
もう不要と判断すれば引き抜いて終わり。
そもそも「強制給餌」なんて事態は避けたいものですし、
やっぱり動物にストレスなく与えられるのはメリット大!

こんなに便利な食道カテーテルですが、
意外や意外、獣医師以外には知られていないみたい。
世間一般での認知度が低い原因としては、
多分ヒト医療で用いられることがないためかな~?
と個人的に推測しています。

ヒトは犬や猫に比べて食道が非常に短く、
食道にカテーテルを設置するくらいなら、
胃瘻を選択する、ということでしょう。
審美的な要素も加味されそうですし。

さまざまな食道カテーテルの設置方法がある中、
最近は首輪と一体化させたタイプがあるので、
私はこれを選択しています。
これ、猫に装着した姿がとってもかわいいんですよ。
ちなみに食道カテーテル、一度設置したら、
適切な管理のもとで2~3週間は使えますが、
これ以上の長期に渡る場合には、
食道カテーテルよりも、
胃瘻カテーテル(PEGチューブ)
が選択されます。

最近は胃瘻のPEGチューブを収納する
犬猫用の介護服も発売されています。
まだバリエーションがありませんが・・・。