今日はトイプードル(♀/3㎏)の消化管内の異物除去手術をしました。
通常異物を飲み込むわんこは若齢が一般的ではありますが、
今回は10歳とわりと高齢です。

異物による消化管閉塞は嘔吐が必発症状といいますが、
今回は部分閉塞で、飼い主さんによれば嘔吐はなかったらしい。

元気が無く、今日は食べないとの主訴で来院したため、
嘔吐がないと診断が難しくなるのですが、
腹部の触診でなんとなく違和感を覚えたので
念のため腹部エコー検査を実施しました。

すると明らかな消化管穿孔と腹膜炎を疑う所見を認めたため、
緊急の手術となった次第です。

異物はご覧の通り2個

画像左の異物は回盲結腸接合部に刺さっており、
穿孔部位に腸間膜が張り付いた状態でした(腹膜炎)。
ただ、平べったい形態なので、完全閉塞には至らず、
拡張した隙間からちょろちょろと腸内内容物が
通過していたみたい。
一方、画像右の異物は円錐形を呈しており、
幽門に詰まり気味で存在していたので、
結局消化管は2か所を切開しました。

もし腹膜炎を認めず胃内の異物だけだったら、
内視鏡処置でなんとかなったかもしれません。

ところで異物を飼い主さんに提示したところ、
「まったく心当たりがない」という。

個人的には豚耳や軟骨のおやつを
荒く咬み砕いたものと想像していましたが、
飼い主さんにもわからないとは、
今まで体験したことがありません。(@_@;)

今回は何から何まで異例の展開でした。