2016年2 月×日(晴)

近日中に犬のアトピー性皮膚炎の新薬が発売になるみたい。

今までの治療方法とは作用機序の異なる画期的な薬剤で、
すでに欧米では認可・使用されて1年くらい経過という。

アトピー治療にかかわらず、獣医療ではヒトでエビデンスのある
お薬を動物にも使用していく、というルートがほとんどですが、

しかし今回、このお薬は犬のアトピー治療のみを目的に開発され、
かゆみを伝える神経のブロックで騒痒感を遮断するとか。

従来の抗アレルギー剤や各種免疫抑制剤、ステロイド剤とは
まったく異なる化学構造であり、これらと一線を画するものの、
その即効性、止痒作用はステロイドと同等。

その一方で、ステロイドによる副作用は心配しなくてもよいので、
飼い主さんとしても安心できます。
いいですね、夢のようなお薬ですね。

ただ、新薬だけに長期投与の安全性データの蓄積はこれからとか。

セミナーを視聴する限りにおいては理想的なお薬です。
これほどのお薬がヒトに先駆けて獣医療で先行発売に
なるとは驚き、というか不思議です。
ところで今年2016年の6月、フランスのボルドーの大学で
世界獣医皮膚科学会が開催され、
このお薬をはじめ、注目の新薬がいくつか発表される予定。

私自身は下戸ですが、おいしいワインも提供されるとか。

いいなあ、フランス。
お金と時間があったら行ってみたいですね。

2016年2 月×日(晴)

村上春樹の「村上さんちのところ」が面白い。

一般人がメールでジャンルを問わず質問して、
村上春樹氏が片っ端から返信するという設定。

氏の回答がユニークでもちろんいいんですが、
質問者の質問も意外や意外、これまた面白い。

世の中は、面白い考え方や不思議な感覚を持った人、
自分にはない視点で物事をとらえられる人
であふれているんだな~、
といまさらながら思い知らされました。

面白すぎて昨夜はちょっと夜更かし、
今朝は起きるのがつらかった・・・。

2016年2 月×日(雪)

今年は雪が少なくて楽だな~~~、
なんてのん気に構えていたら、
いきなり1月18日頃大雪になってしまいました。

こんな時に限って、除雪機の調子がいまいち。
今回だましながらなんとか使ってみたものの、
完全にダウンしてはこちらも大変!!!

購入して10年、その間整備といえばバッテリー
交換ですから(素人はこのくらいしかできません)、
この際点検を兼ねて、修理に出しました。

そして今日一週間ぶりに除雪機が戻ってきました。
整備後だけに、すこぶる調子が良いのだ。

人間だって、動物だって、年に一回検査を受けるんだから、
機械とはいえ、うちの除雪機ももう少し頻繁に整備すべき
なんだろうなと思いました。

2016年2 月×日(曇)

みなさん、動物にも血液がかたまりにくく、
出血傾向を認める病気があるのをご存知ですか?

世界史ではロシア皇太子アレクセイの話(血友病)が有名ですが、
動物の世界では犬種によってかなり正確にわかっています。

具体的には、「先天的に血液凝固因子を欠く」犬種として、
ドーベルマンピンシャー、グレートピレネース、ビーグル、
シェパード、最近ではウエルシュコーギーペングローブ
が遺伝的に高いリスクを負う、といわれています。

そうはいってもほかの疾患に比べたらまれな疾患であり
血液の専門家いわく、確率的には
一人の獣医師が一生に一度か二度診る程度、とか。

大学の先生と話していると
「これが意外に多いんだよ。想像以上だね。」
とはいいますが。

私もかつてグレートピレネースで一度だけ経験しましたが、
先日、久しぶりに血液凝固障害を強く疑うケースを診ました。

ただしこれは本当に先天的なのか、じつは後天的なのか
最終的な判断には至りませんでしたが・・・。
ところで血友病の歴史はかなり古く、紀元2世紀
古代バビロニアの書に記載があるという。

「子供が二人続けて割礼で亡くなった場合(失血死!)は、
3人目は割礼を受けなくてもよい」、という内容らしい。
すごい話で驚きました。

十分な医学の知識がなかった時代でも、
人々は経験からなにがしかの知見を得ていたのでしょう。

2016年1 月×日(曇)

最近は保険に加入している動物が多いな~、
と感じていましたが、どうやらこの傾向は全国的みたい。

アニコムやアイペットなどとの契約件数は
全国で2011年度は61万5千件でしたが、
なんと昨年(2015年)は105万件を突破。

わずか4年で72%プラスという激増ぶり。

日本人はペットを家族として大切にするうえに、
いざという時に備える日本人の几帳面さが
契約増に反映されている気がします。

経済紙の分析によれば
ペットの数は減っても保険契約は増加する、
というこの傾向は、しばらく続くそうです。

ところでよく飼い主さんから、
「動物の保険って加入したほうがいいんですか?」
と訊かれます。

保険会社のスタッフじゃありませんから
あくまで個人的な感想になりますが、

「病気がちの場合はたしかにお得です。」
「病気、けがのない場合お得感はないけど、
お守りと考えてもいいのかなあ。」

と答えています。

2016年1 月×日(曇)

きょうはストーブちゃんがやってきた。
ストーブちゃんは耳のながいロップイヤー種の
かわいいうさぎちゃん(オスの11歳)なのだ。

最近はうさぎも長寿になってきて、10歳以上も
けっして珍しくありません。

もともと種類によってうさぎの寿命には幅がありますが、
10年くらい前までは6~8歳が平均的だった気がします。
今は間違いなく10歳以上でしょう。

ところでストーブちゃんの病気は腫瘍性疾患。
全身麻酔下にて、外科の適用です。

寿命が延びると腫瘍性疾患も増えてくるのは、
人に限らず、犬も、猫も、そしてうさぎも同じです。

2016年1 月×日(晴)

少子高齢化が報じられるようになって久しいけど、
人口減社会に突入している以上、
わんこ、にゃんこの数が減るのは当たり前。

2015年度の飼育頭数は、
わんこ=991万頭、にゃんこ=987万頭。

わんこ数は2008年まで増え続けていましたから、
ピーク時わんこ=1310万頭(2008年)でした。

ここ7年で1000万頭を切るまでの減少は
不況知らずのペット産業に衝撃を与えたと
いわれていますが、人が減る以上仕方がないこと。

ちなみに
全国15歳未満の子供の人口=1617万人、
犬と猫の飼育頭数合計=1978万頭。

この数字をどう見るか、
少子高齢化はあらゆる分野に衝撃をもたらす、
今後の10年でニッポンは激変すると確信しました。

2016年1 月×日(晴)

久しぶりにメガネを新調しました。

今度のフレームは佐藤オオキ氏(nendo)による
斬新なデザインで、なんとヒンジのないメガネ。
新春の挨拶に来たプロパーの方々は一様に、
「いいですね~~~、似合ってますよ!」
とほめてくれます。(^^♪

こりゃ半分以上お世辞だな~、とは思うけど、
けっこう単純な性格なので悪い気はしません。

よし、この一年このメガネで仕事頑張ろう!
おかげで労働意欲がわいてきた。

ところでこのメガネ、成り立ちも奇抜ですが、
オプションで提供されているケースも
本体に負けないくらい奇抜なデザイン。

既成概念にとらわれない彼の豊かな才能が
ほんとうにうらやましい。

2016 1 月4日(晴)

仕事始めです。例年になく暖かなお正月でした。

年末~年始にかけていきなり風邪をひいたりして
すでに無病息災は達成困難。(*_*)

今年のスローガンは「一病息災」に改めようか。

2015年12 月×日(晴)

循環器の専門誌を見ていたら、なんと
高血圧の治療ワクチン開発が急ピッチで進展しているとか。
大阪大学のグループがラットと犬ですでに成功したという。
個人的には猫で成功してくれたら・・・いいなあ。

それにしても、びっくりポンである。

そもそもワクチンといえば、今まで予防に使われる
と信じられていましたが、今回は純粋に高血圧治療。

作用機序は専門的になるのでここでは省きますが、
1回の投与で数か月間の効果が期待できるみたい。

この高血圧治療ワクチン、
近い将来かなりの確率で実用化されると思う。

もちろんこの研究グループ、
最終的にヒトでの実用化を目指しているとは思いますが、
大村先生の発見したイベルメクチンのように、
獣医療でもきっと革新的なものになるでしょう。