12月  ×日(晴 )          

今年も残すところあとわずかとなりました。
清水寺で発表された今年の漢字は「金」だと話題になっていますが、
当院が今年の漢字ひとつをあげるなら、「刺」でしょうか。

医学の世界で「刺す」といえば、すなわち「穿刺術」のこと。
具体的にあげれば、腹腔穿刺(腹水を抜く)、
胸腔穿刺(胸の水を抜く)、心嚢穿刺(心臓に貯まった水を抜く)、
脊髄穿刺(脳脊髄液を検査のために抜く)、といった医療行為。

今年はなぜかこの「穿刺術」が必要なことが非常に多かった。
今年最後の仕事にも胸腔穿刺がからんできそう。

ところでこの「穿刺術」、けっこう太い針をプスプス刺すので
飼い主さんはかなり驚かれるのですが、
もちろん体の中の臓器の構造や位置関係を熟知した上で行っているので、
リスクは最小限です。

また、胆嚢や心臓を穿刺するときは、
事前に安全な部位をエコーなどで確認してから行いますので
事故はありません。

ただ、胸やおなかに水がたまる状況というのは
基本的に重い病気ですから、治療する側としては心理的に
けっこうきついものがあります。

どうか来年が動物たちにとって、よい年でありますように!

10月  ×日(雨)          

雨で天気が悪かったのですが、新幹線に乗って、
某外資系製薬会社のセミナーに行ってきました。

不況を反映してか、最近のセミナーは製薬会社等から見て
ある程度実績のある病院なり獣医師なりを直接選んで招待するため、
セミナー参加者がより限定され、
内容の充実度もさることながら、
オフタイムの軽食(立食パーティー形式)の内容も
以前よりとても良くなりました。

セミナー会場のホテルにたどり着くまえに
カレッタ汐留の高層階で
ランチをもりもり食べてしまいました。
こんなことならセーブしておけばよかった・・・。

ちなみに会場となったホテルはあの小沢一郎の秘書が
水谷建設から○億円受け取った、と検察に白状した場所。
ロビーで紙袋を持ってうろうろしている人を見ると、
あの中に○億円の札束がうなっているのかな、
なんて考えが浮かびます。

それにしても獣医師の世界もずいぶん厳しくなったものです。
いまやある程度の実績がなければ、製薬会社などのセミナ-で
最新の情報にいちはやく触れる機会すら失いかねないのですから。

もっとも経済学の世界ではよく知られた
パレート(イタリアの経済学者)の法則になぞらえれば、
「2割の優良病院が、製薬会社全体の利益の8割をもたらす」
ということになりますから、
獣医師も市場経済の枠組からは逃れられないということでしょうか。

10月  ×日(曇)          

ペットの世界は、いまや人間以上の、空前の健康ブームです。

NEC ビッグローブ(BIGLOBE)が、ペットの体重や健康状態を記録できる
iOS 用アプリケーション「ペットスマイル
健康手帳」を10月にリリースしたみたい。

iTunes App Store で無償ダウンロード提供中とか。

ペットスマイル 健康手帳は、体重の増減や体調の変化、
予防接種や投薬の予定などを記録できるアプリケーションで、
肥満を予防する「体重管理機能」、
日々の変化を日記形式で記録できる「ウエルネスメモ」、
投薬忘れを防ぐ「リマインド機能」、
紙の証明書の携帯が必要なくなる「予防接種証明書登録」などの機能を
備えているとか。
体重管理機能、いいな、私にも必要な気がしました。

今後はAndroid 版の提供や、
カロリー計算機能の追加などを行う予定ということです。

12月  ×日(曇)          

早いもので今年もあとわずかとなりました。

今年は東日本大震災という未曾有の大天災にみまわれ、その影響で飼い主が飼い続けられなくなったり、あるいは飼い主が分からなくなったりした動物たちも多く、被災者のみならず周辺の動物たちにとっても本当につらい一年だったと思います。

そんな苦境にあっても、新たな門出を迎えているワンコもいるみたいで、北海道新聞の記事を読んで、少しは気分が和みました。
みなさんもお時間のあるときにぜひご一読を!

北海道新聞の記事へGO!

12月  ×日(雪)          

最近は診察時にさまざまな質問を受けることが多くなりました。
中でもワクチンに関連するものや食事に関するものが比較的多い気がします。

察するに、最近はいろいろなペット書やインターネットなどで情報がたくさんあり、はたしてどの情報が正しいのか、飼い主さん自身が悩むことが多くなったからではないでしょうか。

実際、今年度とくにワクチン接種に関しては、獣医師の立場からみて不適切と思われるものや、根拠のアヤシイものが目立ちました。
(ちなみに不適切な情報源がある有名な先生の「根拠に乏しい個人的見解」だったりするから説明に苦慮します。)

一方、食事に関しては、冬はダイエットを控えるべきだとか、夏よりも高カロリーの食事を与えるほうが良い、といった誤解を含む意見もありますが、これとてまっとうなエビデンスに基づく話ではありません。

ペットといえども大切な家族の一員です。
どのような些細なことでも結構です、おかしいな?わからないな?どうしたらいいんだろう?と迷われたら、いつでも相談してください。

12月  19日(晴)          

エコーの話 その①

年末ですが日がいい(=大安)ので、本日新機種のエコーを納品してもらいました。新車の購入と同じで、あらたに新機種を迎えるのは楽しいものです。

私自身は、年末はなにかと忙しいので、年明けの大安に初荷として入れてもらったほうが縁起がいいと当初から予定していましたが、金融機関の担当者にとっては年内実行のほうが自身の実績・査定につながるみたいで、「なるべく年内にお願いします!」と切に頼みこまれ、あわただしいなかで本日の納入に至った次第。

エコーは、大学卒業してから代診の時期も含めて、今日に至るまでこれで6台目です。メーカーもアロカ、東芝、日立、あるいはGEだったりとさまざまでしたたが、個人的にはGEの画像が好きなこと、GEのキーボード配列に慣れ親しんでいることから、結局今回もGEとなりました。

12月  21日(晴)          

エコーの話 その②

エコー(超音波診断装置)を製造するメーカーはいくつかありますが、トップシェアを誇り技術力でダントツ評価の高いのは、なんといってもGE(米国、世界シェア1位)と東芝(日本、同2位)です。

エコーはスピーカーや楽器といった音響機器とよく似たところがあり、単に材料にお金をかければ良い製品に仕上がるというものではなく、技術を生かす経験や基礎データの蓄積といった、各社メーカーが企業秘密とするところの独自ノウハウが必要です。

たとえば、技術後進国のメーカーでも、エコーを分解してその構造を知れば一応組み立ては可能なのですが、しかしGEや東芝のような高画質は絶対に出せない、といわれています。

円高が長引いて不況に苦しむ日本企業ですが、医療機器分野における日本の技術力は、世界的にみても極めて評価が高いのです。

がんばれ、日本!
来年こそ日本経済にとって飛躍の年であってほしいと思う。

2012年1月 7日(晴)          

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
当院も、本日から診療開始となりました。

仕事柄、私が長期の休みをとることはほぼ不可能ですが、年末年始は当院で唯一入院がなくなる期間なので、この時期を有意義に生かすべく、今回は美術館をめぐる旅に行ってきました。

旅の移動中、機内で「ショーシャンクの空に」を久しぶりに観ました。古い映画ですが、何度観ても感動するいい映画です。

2月 ×日(雪)          

きょうはうさぎのピーターがやって来た。まだ2歳のやんちゃ盛りなのですが、同居うさぎと遊んでいて高所から落下し、なんとあしの指を骨折!しかも、骨折端の一部が皮膚を破って露出しています。(ToT)/

困りましたね、これは・・・。うさぎの骨は細いうえに、皮質が薄いのでできれば避けたいところですが、こうなった以上やるしかありません。

というわけで、本日午後はピーター君の手術を行いました。
手術自体は思ったよりもスムースに運び、非常に満足できる出来栄えでしたが、今回は作業に集中しすぎて疲れました。

以前は細かな手技もぜんぜん気にならなかったし、むしろ細かな作業自体がたまらなく好きでしたが、最近は長時間1点を見つめていたりすると眼が疲れて肩がこるようになりました。

う~~~ん、ちょっと高いけど(=イチローも愛用するOAKLEYのサングラスの10倍くらいかな)、医療用の拡大鏡、買おうと思う。

3月 ×日(晴)          

今日は横浜で開催された眼科セミナーに行ってきました。

横浜は軽井沢から行こうとするとクルマでは時間がかかるので、今回は長野新幹線(通勤ラッシュでした)→東海道線(熱海に旅行に行くおばちゃんでにぎわっていました)→みなとみらい線(なぜか閑散としていた)を乗り継いでみましたが、予想よりはスムースに着きました。

眼科そのものは獣医学の中ではマイナーな分野であるうえ、今回の講義がさらに「網膜疾患の記録・撮影法」というさらにマニアックな内容に限定しているため(眼底撮影カメラを有する獣医師を優先したセミナーなので)、きっと参加者は少ないだろうな~~~、と思っていましたが、小さなセミナー会場が満員になるほどの人がいてちょっとビックリ!
目測で150人くらい居たのかな。

もっとも全国から150人と考えると、必ずしも多くないかも。道府県レベルで見たら、1県あたり2人くらいかな、と予想しながら周囲を見渡すと、宮城県、奈良県あたりからいらしてる先生もちらほら。

私以外で長野県から参加している先生も1人いました。

地域にあまり偏ることなく、マニアックな内容に興味を示す先生はいるもんだなあ~~~、とまたまたビックリ!