9月× 日(雨)          

飼い主さんとお話していてときどき判断に迷う症状に、咳とくしゃみがあります。動物の場合これに逆くしゃみといわれる症状も加わるため、飼い主さんからのりん告だけでは、判別は意外と難しい・・・。

ただ、以前から一部の獣医師の間では、アタマを縦に振っている場合は発咳であることが多く、一方横に振っている場合はくしゃみであることが多いと言われていました。

医学的な根拠には乏しいけど、これって当たっているんだよな~~~、と長らく思っていましたが、昨日循環器専門の季刊誌を読んでいたら、そのスジで有名な先生もこの説を強調していました。

とういわけで、みなさん、咳かくしゃみかわからないときは必ずアタマの動きを確認してください。診察する獣医師としては、これだけでも診断の助けになります。

9月× 日(晴)          

夏が忙しすぎて毎日ぐったりしていましたので、日誌も久しぶりの更新です。

最近便利だな~~~、と思うのはiphoneやiPADによる動画機能。
例えば、てんかん発作の状態を記録してもらえると、その原因が真性てんかん(脳)なのか心不全(心臓)によるものなのか高い精度で鑑別できるし、また排便の様子などを確認できれば、下痢の原因が小腸にあるのか大腸にあるのか、判別が非常に容易です(今は大学病院でも推奨しています)。

普段から可愛がっているワンコやにゃんこが、倒れたり苦しんでいる状況を冷静に撮影するのは飼い主さんの気持ちとしては複雑なものがありますが、百聞は一見にしかず、診療の際に飼い主さん自身が医療の専門家でもない限りなかなかコトバでは状況を十分説明しきれないこともありますから、動画は正確な診断に至る極めて有効なツールです。

ところで私はiPADは持っていますが、iphoneは持っていません。
持っていなくても特別不便を感じたことはありませんでしたが、最近これに端子を接続して血液中の酸素飽和度を測定するということが可能になったようです(アマゾンで2万円ほど)。

手術時の信頼できるモニターとして欠かせない酸素飽和度ですが、今後はヒトの在宅医療はもちろんのこと、病気の高齢犬などを抱えたの飼い主さんにも欠かせないお手軽診断ツールとなる可能性を秘めています。

ワタシの携帯もiphoneに変えてこの機能を付加してみようかと思います。そして本当に使える機能・信頼に足る精度を誇るならば、必要な飼い主さんにはお勧めしてみようかな。

3月  9~10 日          

内視鏡関連の研究会が2日間連続してあったので、
久しぶりに大阪に前泊含めて2泊3日で行ってきました。
大阪まではクルマで400kmもあるので
SAで休憩をとりながらの長旅です。
診療後に家を出発したので
さすがに途中空腹を感じて
多賀(滋賀県)のサービスエリアで
「餃子の王将」に入りました。

大学生の頃は時々「餃子の王将」へ行っていたので、
チャーハンや餃子を食べつつ、
なんだか妙に懐かしさを覚えました。

相変わらず、早くて、安くて、ボリューム満点 (*^_^*)。

ちなみに長野県内には店舗展開していないようで、
(「大阪王将」なるものはあるみたいですが)
ほぼ20年ぶりの王将でした。

         宿泊したホテルからの眺め

2月  ×日(晴 )          

最近の獣医学専門誌は
紙版とデジタル版の二本立てで提供されることが多くなりました。

当初は、従来の紙の専門誌を読むことに比べて、
同じ内容をPCやiPADで読むことのメリットを十分理解出来ませんでしたが、
紙版では写真(静止画)で見ていたものが
デジタル版ではリアルな動画で確認できたり、
拡大出来たり、
不明な点をすばやく医学辞典で検索したり
(もちろん医学辞典をあらかじめダウンロードしてあればの話ですが)、
便利過ぎて驚きの連続です。

辞典といえば、学生の頃ステッドマン医学辞典
(当時でも結構なお値段していた)を、
重くて持ち運びに不便、寝転がって読むとき手が疲れる、という理由だけで
購入後いきなり3分割か4分割していた助手の先生がいました。

高価な専門書ゆえ、
研究室で躊躇なくバラす作業にはさすがに仰天したものですが、
今後はこんな大胆なことをしなくてもよくなるでしょうね。

2013年 2月  ×日(晴 )          

最近は製薬会社も経費削減であまり景品を出さなくなりましたが、
久々に楽しいグッズをいただきましたので、ここに紹介します。

高価なお薬をまとめて購入したら、
おまけで犬型加湿器が付いてきました。
この画像ではわかりにくいのですが、
じつは両耳の先端に穴が開いており、
作動させるとここから蒸気がモクモク出る仕組みになっていて、
とってもとっても可愛い・・・(*^_^*)。

使っていて和みます。

12月  ×日(晴 )          

今年も残すところあとわずかとなりました。
清水寺で発表された今年の漢字は「金」だと話題になっていますが、
当院が今年の漢字ひとつをあげるなら、「刺」でしょうか。

医学の世界で「刺す」といえば、すなわち「穿刺術」のこと。
具体的にあげれば、腹腔穿刺(腹水を抜く)、
胸腔穿刺(胸の水を抜く)、心嚢穿刺(心臓に貯まった水を抜く)、
脊髄穿刺(脳脊髄液を検査のために抜く)、といった医療行為。

今年はなぜかこの「穿刺術」が必要なことが非常に多かった。
今年最後の仕事にも胸腔穿刺がからんできそう。

ところでこの「穿刺術」、けっこう太い針をプスプス刺すので
飼い主さんはかなり驚かれるのですが、
もちろん体の中の臓器の構造や位置関係を熟知した上で行っているので、
リスクは最小限です。

また、胆嚢や心臓を穿刺するときは、
事前に安全な部位をエコーなどで確認してから行いますので
事故はありません。

ただ、胸やおなかに水がたまる状況というのは
基本的に重い病気ですから、治療する側としては心理的に
けっこうきついものがあります。

どうか来年が動物たちにとって、よい年でありますように!

10月  ×日(雨)          

雨で天気が悪かったのですが、新幹線に乗って、
某外資系製薬会社のセミナーに行ってきました。

不況を反映してか、最近のセミナーは製薬会社等から見て
ある程度実績のある病院なり獣医師なりを直接選んで招待するため、
セミナー参加者がより限定され、
内容の充実度もさることながら、
オフタイムの軽食(立食パーティー形式)の内容も
以前よりとても良くなりました。

セミナー会場のホテルにたどり着くまえに
カレッタ汐留の高層階で
ランチをもりもり食べてしまいました。
こんなことならセーブしておけばよかった・・・。

ちなみに会場となったホテルはあの小沢一郎の秘書が
水谷建設から○億円受け取った、と検察に白状した場所。
ロビーで紙袋を持ってうろうろしている人を見ると、
あの中に○億円の札束がうなっているのかな、
なんて考えが浮かびます。

それにしても獣医師の世界もずいぶん厳しくなったものです。
いまやある程度の実績がなければ、製薬会社などのセミナ-で
最新の情報にいちはやく触れる機会すら失いかねないのですから。

もっとも経済学の世界ではよく知られた
パレート(イタリアの経済学者)の法則になぞらえれば、
「2割の優良病院が、製薬会社全体の利益の8割をもたらす」
ということになりますから、
獣医師も市場経済の枠組からは逃れられないということでしょうか。

10月  ×日(曇)          

ペットの世界は、いまや人間以上の、空前の健康ブームです。

NEC ビッグローブ(BIGLOBE)が、ペットの体重や健康状態を記録できる
iOS 用アプリケーション「ペットスマイル
健康手帳」を10月にリリースしたみたい。

iTunes App Store で無償ダウンロード提供中とか。

ペットスマイル 健康手帳は、体重の増減や体調の変化、
予防接種や投薬の予定などを記録できるアプリケーションで、
肥満を予防する「体重管理機能」、
日々の変化を日記形式で記録できる「ウエルネスメモ」、
投薬忘れを防ぐ「リマインド機能」、
紙の証明書の携帯が必要なくなる「予防接種証明書登録」などの機能を
備えているとか。
体重管理機能、いいな、私にも必要な気がしました。

今後はAndroid 版の提供や、
カロリー計算機能の追加などを行う予定ということです。

12月  ×日(曇)          

早いもので今年もあとわずかとなりました。

今年は東日本大震災という未曾有の大天災にみまわれ、その影響で飼い主が飼い続けられなくなったり、あるいは飼い主が分からなくなったりした動物たちも多く、被災者のみならず周辺の動物たちにとっても本当につらい一年だったと思います。

そんな苦境にあっても、新たな門出を迎えているワンコもいるみたいで、北海道新聞の記事を読んで、少しは気分が和みました。
みなさんもお時間のあるときにぜひご一読を!

北海道新聞の記事へGO!

12月  ×日(雪)          

最近は診察時にさまざまな質問を受けることが多くなりました。
中でもワクチンに関連するものや食事に関するものが比較的多い気がします。

察するに、最近はいろいろなペット書やインターネットなどで情報がたくさんあり、はたしてどの情報が正しいのか、飼い主さん自身が悩むことが多くなったからではないでしょうか。

実際、今年度とくにワクチン接種に関しては、獣医師の立場からみて不適切と思われるものや、根拠のアヤシイものが目立ちました。
(ちなみに不適切な情報源がある有名な先生の「根拠に乏しい個人的見解」だったりするから説明に苦慮します。)

一方、食事に関しては、冬はダイエットを控えるべきだとか、夏よりも高カロリーの食事を与えるほうが良い、といった誤解を含む意見もありますが、これとてまっとうなエビデンスに基づく話ではありません。

ペットといえども大切な家族の一員です。
どのような些細なことでも結構です、おかしいな?わからないな?どうしたらいいんだろう?と迷われたら、いつでも相談してください。