10月  ×日(雨)          

10月といえば、ノーベル賞の季節ですが、ノーベル賞とともに全米でもっとも注目される賞が、米国大手ペット保険会社が主催する「ハムボーン賞」。

ハムボーン・アワードのページへgo!

そもそも、冷蔵庫に閉じ込められ救助を待つ間、骨付きハムを丸ごと平らげ病院に担ぎ込まれたという、同社社員の間で伝説になっている1匹のワンコをきっかけに、2008年7月にスタートしたこの賞も、今年で3年目を迎え、以後「今年こっともお騒がせなペットを選ぶ!」という趣旨で毎年スターを輩出してきました。

今年の1位はなんと小石100個食べちゃったパグのハーレー君(下の画像)。

なお、2位には、深夜の散歩中にアメリカワシミミズクに連れ去られそうになったものの、リードとジャンパーを着用していたことで九死に一生を得たチワワ「チコ」が、3位にはゴミ箱を漁った末に空き缶が下あごから外れなくなってしまった食いしん坊のラブラドール・レトリーバー「ステラ・アルトワ」が選ばれている。

10月  ×日(雨)          

AFP通信の報道によれば、ロンドンで8月に起きた暴動の際、頭蓋骨を骨折しながらも任務を続行した警察犬が18日、表彰されたとか。

偉いですね~(*^_^*)

表彰されたのは、3歳のジャーマンシェパード、オビ君。
オビ君は担当警官のフィル・ウェルズ巡査と一緒に、ロンドン全域に広がった暴動のきっかけとなった警官による男性射殺事件が起きたロンドン北部で最初の暴動の最前線にいたらしい。

瓶やレンガ、火炎瓶が降り注ぐ中、オビ君はレンガと思われるものにあたったが、その場ではけがをしたそぶりを見せず、数時間にわたって任務を続行。

 その後、左の鼻孔から血が流れ出ているのが発見されて任務を解かれ、獣医師によるスキャン検査を受けたところ、左眼孔上部付近の頭蓋骨が骨折していたことが判明!

 オビはしばらく静養した後、簡単な任務については復帰していたが、このほどようやく完全復帰し、英上院で行われた国際動物福祉基金(International Fund for Animal Welfare、IFAW)の表彰式で、勇敢な動物に贈られる「アニマル・アクション・アワード(Animal Action Awards)」を授与されたという。

9月  ×日(雨)          

残暑が厳しいせいか、熱中症や心不全の悪化で倒れるワンコが増えています。今日もお昼すぎの13時から14時にかけて、急患を続けて2件診ました。

1件目は老齢のパピヨン。倒れた場所が遠く、来院したときにはすでに心肺停止状態。蘇生を試みましたが、生還することはありませんでした。

一方、つづく2件目はアメリカンコッカースパニエルのムサシ君。病院の駐車場に着いたときまでは意識を失いつつも呼吸していましたが、処置室に運び込まれたときには呼吸が完全に停止していました。ただ、6歳とまだ若いせいか、わずかながら心拍がありました。

実際にモニタリングしてみると、心拍数は5回/分と重度の徐脈で心音は微弱。おまけに血圧は測定限界以下(30以下)。それでも一縷の望みを託して気管挿管後、人工呼吸器に接続し呼吸機能を維持し循環機能を安定させたら、4時間後なんとか意識が戻ってきた。

このワンコは本当に運が良いと思う。来院するまでにあと数分手間取っていたら、死は免れなかったでしょう。

ムサシ君は強運の持ち主。きっと長生きしてくれることでしょう。

9月  ×日(雨)          

昨日輸液ポンプの一台が壊れてしまい、さっそく修理に出しました。
ところが修理見積もりを見たら、もうちょっとお金を出せば、新品が買えるような金額。たしかにうちは平均より酷使しているとは思うけど、なんだこりゃ!

故障の原因は私の予想通りバッテリーだけでしたが、当該の医療機器メーカーいわく、
「この機器は製造から8年を経過しているので、保守点検マニュアルに基づいて、すべての部品の定期交換とすべての項目の調整が必要になります。」

そっかあ、うち開業して8年も経つんだ。月日の流れるのははやいなあ~。

というわけで故障機は修理をあきらめ、新品を購入することにしましたが、こうなるとほかの輸液ポンプたちも一旦故障したらオシマイですね。

輸液ポンプは、エコーやシーリングシステムのような華やかな機器ではないけれど、病院には欠かせない機器。敬老の日が近いようですが、うちの輸液ポンプの一団も、今後いたわってあげようと思う。(*^_^*)

9月  ×日(曇)          

ようやく一息つきました。
今年の8月は忙しくて、HPを更新する時間がありませんでした。
(T_T)/~~~

今年は「節電の夏」だったせいか、別荘のみなさん、例年と比べわりと早い時期から軽井沢入りしていたみたい。

軽井沢も近年暑くなっているといわれるけど、それでも都内近郊と比べたら格段にしのぎやすいですからね。

7月  ×日(曇)          

今日は5ヶ月齢のミニチュアピンシャーのさくらちゃん(♀、1kg)の手術日です。
おてんばさんのさくらちゃんは、玄関先のシューズ
クロークから飛び降りて左の前肢、トウ骨と尺骨を折ってしまいました。

さくらちゃんは小型犬の仔犬ですから、折れた骨の直径はわずかφ3mm程度しかありません。この手の非常に細い骨は単純な外部からのギブス固定だけでは絶対癒合しませんから、手術で骨折端同士をきっちり着ける必要があります。

というわけで、本日の手術では、おそらく臨床家が扱う整形外科機材のうち、最も小さなプレートとスクリューを用いることになりました(下の画像、ボールペンとの比較)。

スクリューは直径φ1.5mm長さ6mm、一方プレートは幅4mm長さ19mm。
この手の手術は細かな作業が連くうえ、ドリルの場所ひとつ誤っただけで修正が利かず失敗ですから緊張の連続です。

- 正確に位置を決めるとφ1.1mmのドリルで下穴を開けて、さらにφ1.5mmでタップを切る、デプスゲージで深さを確認後適合するスクリューで固定していく -

こんなややこしい作業の繰り返しですが、人間の適応力とはふしぎですね、最初こそ小さすぎてやや戸惑うものの、毎度のことですが、のってくると小さいことなんか、全く苦にならなくなってしまいます。
極端な話、1.5mmの穴が3mmくらいの大きな穴に見えてくるから不思議です。

7月  ×日(曇)          

たて続けにわんこの帝王切開を行いました。
昔から「犬の安産」というけれど、これも犬種によりきりで、少なくとも短頭種、例えばブルドックやボストンテリアは難産が当たり前。

というか、帝王切開以外では無理というのがこの世界の常識。
なぜ無理なのかは、以前NHKの「いのちドラマチック」で、分子生物学者の福岡伸一先生が力説していたので、一般の方でも知ってる人は知ってるみたい。

ちなみに今回の患者さんはボストンテリアとフレンチブルドック。もちろん典型的な短頭種。しかも、いずれも胎仔がひとつだけで、そろいもそろってハイリスク患者。

ワンコの場合、出産24時間前になると顕著に体温低下が認められるのですが、胎仔数が少ないケース(=1頭)では、基本的に胎盤から分泌される分娩を誘起するホルモンも少ないため、目安の体温低下が明確になりません。

というわけで、体温が当てにならない以上、エコー画像上の胎児の大きさと胎児の心拍数を基準に、もっとも母子ともにリスクの少ない時を見つけて手術に踏み切りますが、これが結構難しい。

もっとも、私はアマノジャクで難しければ難しいほど気合が入るタチなので、手術自体は嫌いじゃありません。今回も無事終えることが出来て本当によかったと思う。

「帝王切開はけっして珍しい手術ではありませんが、かといって他の外科手術と比べて数が多いものでもありません。それだけに、臨床家としての腕の良し悪しがはっきり見て取れると思う。」・・・・・ある有名な教授のコメントです。

7月  ×日(晴)          

軽井沢とはいえ連日暑さが厳しいので、今日からスタッフ一同外科のスクラブスーツ着用で仕事をすることにしました。
当院流のクールビズです。

今月は異様に手術が多くみんな疲れ気味ですが、そんなときでも仕事が楽しく、かつはかどるようにと、女性スタッフは鮮やかな花柄のデザインを採用し、一方私といえば、思い切ってかわいい動物柄にしてみました。

どうです、このデザイン(*^_^*)。
最初はちょっと派手かな~~~、うるさいかな~~~、と抵抗があったけど、今はかなり気に入ってます。

6月  ×日(晴)          

『求人情報サイトQ-JiN』の2011年5月度求人情報検索ワードランキングで、”動物病院”が一位だったみたい。

もともと獣医師は、一般の人に知られている以上に職域が広く、その一方で獣医師を養成する大学の数は戦後65年を経てもまったく同じですから、足りなくなるのも当然です。一部に人気職業ととらえる向きもありますが、それよりも慢性的に供給量が足りない、ということでしょう。

具体的な数値を挙げれば、獣医師の新卒は毎年わずか1000人たらず、この数は医師の10分の1、歯科医の20分の1程度ですから。

ちなみに今回の調査は、5月1日~5月31日までにQ-JiNサイト内で119,558回のフリーワード検索の検索ワードが対象だそうです。

ところで、数年前から獣医学部のない四国に獣医学部を設立する(=愛媛大学内)という案が文科省を中心になされていましたが、たとえこれが実現されても供給は満たされないことは明らか。
もっとも今の民主党が政権にいる限り、学部の増設は実現不可能だと思っています。

5月  ×日(晴)          

世の中に愛犬家を名乗る人は多いけど、実のところオサマビンラディンもかなりの愛犬家だったみたい。

報道によれば、敷地内の農場には自活目的の家畜に混じって、多くのワンコもいたようです。

農場といっても基本的に自宅の庭ですから、牧羊犬というよりは愛玩目的だったのでは、と勝手に想像しています。

ところでビンラディンが実際にどんなワンコを飼っていたのかはわかりませんが、イスラム世界で今も昔も人気の犬種といえば、なんといっても「サルーキー」でしょう。

時速77km/hで疾走可能という精悍でスタイリッシュな風貌もさることながら、そもそも「サルーキー」とはアラビア語の古語で、「アッラーの神より与えられし高貴なるもの」、という意味だとか。個人的にも、サルーキーは大好きな犬種です。