2月 ×日(雪 )          

地方紙(=信濃毎日新聞朝刊)の一面に、長野県出身者が宇宙飛行士候補に選ばれたとのニュースが掲載されていました。ほう、宇宙へ行けるんだ、いいなあ~、ボクもいきたいなあ~、と思いつつ記事を読み進めると、どうやらこの宇宙飛行士候補はワタシの出身高校の2~3年後輩みたい。

一応進学校だったけどなにせ田舎の高校だから、宇宙飛行士になる人はおそらく彼が最初で最後かもしれない。そもそも宇宙飛行士は開校以来初だろう。快挙ですね。記事によれば子供の頃から星座や天体に興味があり、宇宙への夢を描いていたとのこと。う~ん、初志貫徹か。すごいなあ。

ちなみにワタシのなりたかった夢は、タンクローリーの運転手(幼児期)→パイロット(小学生)→川口探検隊への入隊(中学生)→映画俳優もしくは獣医師(高校生)、といったところでしょうか。初志貫徹にはほど遠い状況ですが、動物好きなワタシはやっぱり獣医師でよかったと思う。でももし生まれ変わることがあったら、ぜひ、ぜひ、映画俳優に挑戦したい!

2月 ×日(晴 )          

獣医師会の会議があったので、久しぶりに佐久市まで行ってきました。軽井沢からはクルマで40分くらいかかるので、診療のある日にあったりすると結構大変。

今日も診療の合間をぬって会議に出席しましたが、遅刻する先生がいるわ、なぜか開催時刻は遅れるわ、開催挨拶が要領を得ないわでてんやわんや。診療の合間に出席する先生が大半を占める会議は、より重要な議題に重点的に時間を割り当てて、その他の確認事項などは各自が資料に目を通すだけで十分なはず。まずまず気長な私ですが、時間を大切にしない人は嫌いです。(>_<)

2月 ×日(晴 )          

ニュースを見ながら遅いお昼を摂っていたら、中川大臣の辞任の速報が流れていました。どうやら酩酊会見が辞任の原因のようです。本人は倍量飲んだとする風邪薬のせいにしていますが、たぶん一般的な風邪薬のたぐいであれば倍量程度で呂律が回らなくなることはありません。そもそも薬が厚労省から認可されるには非常に厳しい基準があって、臨床で使用される前の動物実験や毒性試験等で通常5倍、10倍投与群でも臨床上なんら異常を認めないくらいの高い安全性が保証されない限り、認可されません。これって薬理学の常識。
立場上お酒を飲んでいたとは言えないのでしょうが、かなりストレスの多い仕事である事を考えると、大臣ちょっとかわいそう・・・。(>_<) ところで、医師や獣医師は、たとえお酒を飲んでいても診察が可能な場合があります。たとえば、自宅で夜晩酌中に急患が運び込まれたような場合。もちろん診療時間内(=仕事中)であれば、飲酒なんてもってのほか(!)ですが、時間外の急病や急患など緊急性の高い場合、お酒が抜けるまで待っていたら救える命も救えなくなってしまいます。 ちなみに私はお酒を飲んだ状態で診察したことは一度もありません。理由は簡単、私はほとんどお酒が飲めない体質なのだ。^_^;

2月 ×日(曇 )          

科学の進歩はめざましく、TV報道によれば先日噴火した浅間山の内部構造がかなり克明にわかるらしい。なんでも、宇宙から飛来するミューオンという宇宙線は基本的に人を含め全ての物質を通過してしまうが、非常に密度の高い物質(=マグマ)だけは通過できず、これを測定する事で内部構造が描けるということらしい。あれ、これってどこかで聞いた話?ああ、レントゲンと全く同じ原理じゃないか!

今のところ二次元の画像しか発表されていないけど、近い将来三次元の3D画像も見れるようになるのかな?スケールの大きな話だけに今後が楽しみです。

2月 ×日(晴 )          

米国HESKA社製の犬猫用尿比重計が届きました。いままで国内には人体用の尿比重計(=国産)しか存在しなかったので、当然のことながら人体用を犬猫に転用していましたが、このたび所属する獣医師グループを介して米国からの輸入に成功しました!\(~o~)/
まだ国内には30本くらいしか輸入されていない注目の逸品。しかも温度補正を内部で自動で行なう為、補正操作が不要。おもわず分解してみたくなる衝動に駆られましたが、壊してしまうと悲しいのでその気持ちをグっと抑えました。

検査の精度が上がることには大きな意義がありますが、ツールマニアの私としては、所有すること自体にも大きな喜びを感じています。

2月 2日(曇 )          

今日未明に浅間山が噴火(=水蒸気爆発)しました。といっても小規模な噴火で私は気が付かなかったのですが、場所によっては降灰や地鳴りが認められたところもあったようです。特に降灰は風向きによる影響が大きく、うちのあたりは極少量。(@_@;)

お昼買い物がてらに外出してみましたが、この程度の降灰は以前にも経験しているだけに、街中はいたって静か。みんな慣れているのかもしれませんね~。^_^;

今日しみじみと浅間山を眺めてみた。実に美しい山なのである。緑まぶしい春の浅間山もいいけど、個人的には雄大で荘厳な雰囲気を醸し出している冠雪した浅間山が好き。火山活動が落ち着いたら、いつの日か登山してみたいなア。

1月 ×日(晴 )          

軽井沢ペット福祉協会で役員としてボランティア活動をしているので、不幸なワンコを一時的に保護する事があります。先日も会員さんを介して、白い柴犬(♂、推定3.5歳くらい、12Kg)をお預かりすることとなりました。

このワンコ、あのソフトバンクのCMで一躍有名になった「おとうさん犬」にそっくりです。ただし、性格は極めて従順です。聞くところによれば、CMのおとうさん犬は気が荒くて、CM撮影中にもいろんなところでいろんな人を咬んでしまったとか。

一方、うちで預かっているワンコはとってもお人よし。(*^_^*)
当院にて健康診断・8種ワクチン・去勢手術済です。
ただいま飼い主さんになってくださる方を募集中です。

1月 ×日(晴 )          

TVニュースを見ていたら、なんと「美容外科のしわ取り用のヒアルロン酸をインターネットで購入し、自分で自分の顔に注射して、シコリができた」という事故の報道。これにはビックリ!というよりあきれました。

いくらシワを取りたいからといっても、自己注射はまずいだろう。形成外科医の仕事だろ。そもそも皮下注射は典型的な医療行為。これを素人が行なうなんて無謀にもほどがあります。職業柄ワンコやニャンコに皮下注射をうつことが多い私でも、注射時には細心の注意を払って行なっています。不用意な注射は筋膜炎を起こしかねませんから。リスクを承知しているだけに、医師でない以上自分の体には出来ないし、まして己の顔に針を立てるなんて、まったく想像すら出来なかった・・・。

おそらくシコリが出来たのは、素人だけにヒアルロン酸が皮下に入らなかったか、あるいは皮内に漏れた事が原因だと想像しましたが、そもそもリスクを犯してまでシワを取ることにどれだけの意義があるのか、男の私には理解に苦しむところです。

ところで最近米国でまつげを密生させて、しかも長くする薬剤が開発されました。「開発」といっても、じつは緑内障の治療薬開発の過程で副次的に見出された効能。すでに米国内の美容外科業界がアツいアツい視線を送っているとか。そのうち日本にも入ってくるのかな?事故が起こらなければいいけど・・・。

1月 ×日(晴 )          

河北新報社の報道によれば、東北各県での獣医師不足が深刻とか。といっても動物病院の話ではなく、行政に携わる獣医師、すなわち公務員の話。

ここ数年来新卒の獣医師は70%以上が動物病院志望しており、実際60%は動物病院に就職するため、東北各県の職員として食品衛生や食肉検査に携わる獣医師が常に定員割れで、深刻な状況下にあるという。とくに食肉検査などのハードな勤務は敬遠されがちとか。大学によっては、公務員を志望する獣医師が1割を切ったという話も聞きます。

その一方で近年富に増え続けているのが愛玩動物の臨床に携わる獣医師。医師の偏在が大きな社会問題になって久しいようですが、獣医師の世界でもすでに地殻変動がおこっております。獣医師の偏在という今回東北各県で顕在化した問題は、やがて全国的な問題へと広がりを見せることでしょう。大変な世の中です。

1月 ×日(晴 )          

TV報道によれば、外人さんのマナー違反から一時休止していた築地市場の見学を再開したとか。喜ばしいことです。市場の雰囲気にはある種独特のものがありますからね~(^・^)。

私も学生時代、築地市場と北部市場(川崎市)によく通いました。といっても買出しではなく、あくまで検体採取(=腸内細菌の採取)が目的。とくに大量に仕入れたのはマコガレイ・コノシロ(コハダ)・セイゴ(スズキ)・イワシの4種類。当時は検体の採取という本来の目的をあらわにするといやな顔をされることもあって、あくまで「すし屋の大将の代理」みたいな顔をして朝の4時から市場を闊歩していました。

検体購入後は鮮度の高いうちに研究室でさばくわけですが、検体として使う部分は消化管のみ、本来のおいしい身の部分は全く必要ありません。かといって、捨てるにはもったいない・・・。そこで身の部分はいつも研究室の同級生や先生方に焼いたり煮付けたりして出していました。

これが意外に好評!研究室から予算を頂いているだけに、隣近所の研究室まで出向いて出張料理教室までこなし、そりゃ大判振る舞いでした。基本的にセイゴなどの高級魚は教授・助教授・講師までで、安いイワシは後輩中心に出していました(^_^)。こんな生活をしばらく続けていたら、なんと白いごはんを炊いてホイホイ出迎えてくれるツワモノ(=同級生)まで現れました。

ただ、イワシだけは安くて箱単位でしか購入できず、大漁(?)すぎて捌き切れなくて困りました。1箱20匹くらいは入っているんですが、実際に使うのは数匹程度。市場には平均週2回出撃してその都度ゲットするわけで、月によっては100匹以上余ってしまうのです。さすがの私も料理しきれない・・・。そのため研究室の冷蔵庫があっという間にイワシだらけ。当時助手のT先生には、二言目には、「おい、菊池、冷蔵庫なんとかしてくれ!」と言われたものです。

その一方で、海がシケて、セイゴなんてぜんぜん獲れないときもあって参りました(>_<)。そんな時魚病学のS先生に相談すると、きまって、 「1年くらい船に乗っちゃいなよ。海はいいもんだよ~。」 と涼しい顔してのたまうのです。 学生ですからいくら時間に余裕があるといったって、卒業を控えて、おまけに国家試験まで控えている私には到底無理(@_@;)。 ちなみにS先生は魚類生理学の専門家で、なんと検体採取(魚の眼球と自律神経の研究)のために数年間漁船に乗せてもらった経験者。最初は冗談と思っていましたが、く話してみると意外や意外の本気印。さすがS先生、スケールが違うと心底感心したものです。 その後S先生は魚類生理学の第一人者となられ、今は名古屋大学大学院教授。やっぱりS先生はスケールが違う。今期ノーベル賞を受賞されたオワンクラゲの下村先生にも通じるところがありそうなのだ。