4月×日(晴)        

前回に引き続き、今回もフィラリアに関するトピックをひとつ。
米国ではフィラリア予防薬の投与が従来の季節間投与から通年投与に変わりつつあるとのこと。直接の原因は、米国犬糸状虫学会(AmericanHartwormSociety)が2004年に行われた学会でこれを強く推奨したことによるものと思われます。

米国内で通年投与を強くすすめる理由として
1)今までの方法で撲滅が不可能であった事実。
2)通年投与でリーチバック&成虫駆除が可能になる。
3)他の寄生虫(回虫・釣虫)の予防効果が上がる。
4)米国獣医寄生虫学会(CAPC)からの要請。
をあげています。

ところでこの事実を日本ではどう考えていけばいいのか、大いに気になるところです。聞くところによれば、都内では昨年あたりから通年投与を支持している動物病院もかなり増えているとか。
地域性を考えた場合、少なくとも軽井沢ではまだ通年投与の必要性は考えられませんが、社会の流れが通年投与を必要としているのであれば、充分な検討のもとに今後の対応を考え直さねばならないのかもしれません。

4月×日(曇)        

フィラリア予防の時期になりました。今年度から当院では従来のフィラリア予防薬(錠剤・滴下剤・チュアブル)に加えて、今年4月M製菓(国内の大手菓子メーカーです)から発売されるチュアブルタイプの予防薬も新たに選択肢に加えました。その理由は従来のチュアブル(こちらは大手外資系)がその原料に米国産牛肉を使用しているのに対し、M製菓では原料はあくまで国産鶏肉に限定(安全性への配慮)している点です。米国産輸入牛肉は依然としてBSE(狂牛病)の心配がありますから、今後は当院でもなるべく安全性の高いものにシフトしてゆこうと考えています。

*国産鶏肉にこだわっているからといっても、私は宮崎県のそのまんま東知事のマワシモノではありません。(^_^)v

3月×日(晴)        

今日はワクチン接種の予定通りポメラニアンのアリスちゃん(♀、12歳)がやってきた。朝の散歩の途中でなぜか突然歩けなくなってしまい、そのまま病院に連れてきたとのこと。かなり体調が悪く立っていられない様子、ん?と思いつつ心電図を確認すると、危険な致死性不整脈(=心房細動)が現れているじゃありませんか!すぐに除細動が必要です。
処置室内にある除細動器でカウンターショックを2回与えましたがいまいち反応が鈍く不安定、それでもあきらめきれずに神様に祈りつつ3回目トライすると見事に除細動に成功、心電図上で完全なリカバリーが確認され、その後はこちらの期待通り順調に回復、一安心です。
この除細動器めったに使わない機器だけど、こんな時はあってよかったと心底思います。しかしめったに使わない機器だけに、医療機器業者によれば動物病院では普及率はまだまだ低いとか。心房細動や心室粗動の治療にはカウンターショック以外に確実な治療法がないだけに、これだけはもっともっと普及して欲しいなあ・・・。

ところで最近は空港や大都市の駅、大きなスタジアムにもこの除細動器が箱に入って設置されていますが、皆さんご存知ですか?ハートのマークのついたあの赤い箱(AEDと表記)です。そういえば最近は映画やドラマ(救急救命ER)などでもよく見かけますよね。

3月×日(晴)        

マスコミ報道によれば、なんと今年の獣医師国家試験のうち生化学の4問が事前に漏洩して問題になっているとか。数年前には歯科医師の国家試験漏洩が問題になっていたけど、今度は獣医師国家試験か~(>_<)。こんなことで獣医師の社会的信用が損なわれることがないことを願ってます。

3月×日(晴)        

今日は飼い主さんから、わんこ御守りをいただきました。長野の善光寺に御参りされた際、当院看板犬りーちゃんの顔がポッと浮かんだとのこと。ありがたいことです、本当に。ちなみにこの御守りは健康健脚・交通安全・延命長寿に効果ありとうたっています。りーちゃん長生きできるかなア。

3月×日(霧)        

いま抗ウイルス薬(=インフルエンザ治療薬)として問題のタミフル。実は獣医療でもちょっとした話題になっていて、一部報道によれば、これがパルボウイルス感染症に非常に効果があるという(学会報告あり)。ただし、一方ではまったく効果が確認出来なかったという臨床例もあり、未だに結論に至っていない状態。そもそも検定出来るほどの症例数がまだ集まっていないのが現状なんでしょう。今後どうなるのか大いに興味のあるところですが、私個人としてはかなり懐疑的にみています。

3月×日(曇)        

先日この日誌に興味深い学会に参加したと書いたら、複数の方から「興味深い学会ってなんですか?」と尋ねられたので、今回はこれについて述べてみます。

私が常日頃心がけていること、それは「救急救命技術の向上」です。改めて言うまでもなく、これは臨床にたずさわる獣医師であれば避けて通ることの出来ない大切な手技です。緊急時には夜であろうと、休憩時であろうと、どんなに疲れていようと、傍観者でいることは許されません。まして臨床家として現場で働く限り、その時、その限られた瞬間に自己のベストを尽くすのは当然。であるがゆえに、私はこのような状況下においても自らの能力を100%出し尽くすべく、あの時こうしていれば・・・なんて後悔することがないよう、積極的にラボに参加して技術のブラッシュアップに努めているのです。
一方で、こうした技術は麻酔時のエマージェンシーにも当然応用出来ます。開業以来当院で麻酔事故がゼロなのは慎重な手技、正確な生体モニターに加え、スタッフ一同日頃から様々なエマージェンシーを想定した訓練を繰り返しているためです。
刻々と変化する厳しい状況下でも迷わず適切な判断を下す、そして実際に積極的に体が動く、同時に動揺することなく確実な処置を講ずる等の医療技術は、何度でも繰り返して体得することが大事だと考えています。

3月×日(晴)        

今日は朝から花粉症で辛かった・・・。眼はゴロゴロして異様に痒いし鼻水が朝から止まる気配なし。(>_<) 以前友人の医師から処方され残っていた内服薬アレジオンを飲むとしばらくしておさまってきたけど、暖冬の影響なのか花粉症が始まるのが例年よりも早い感じ。なんとかならないか、スギ花粉!集中力が減退してあ~あ、本も読めないのだ。

3月×日(晴)        

昨年海外からの帰国者に狂犬病が発生して以来、国内の獣医師自身(もちろんヒト用狂犬病ワクチンです)にもワクチンが必要ではないかという議論が獣医師会でなされています。先日私の所属する支部でもこの件が議題となったので改めて自分自身で調べてみると、どうやらわが国の狂犬病ワクチンの備蓄数には問題がある様子。実は有事(国内発生!)の際には自衛隊及び医療関係者に優先的に接種することを前提とした備蓄数であって、そもそも発生時に最前線に立つことが予想される獣医師の分は備蓄に反映されていないらしい。事実その方面に詳しい情報筋によれば、最近医療機関における一般渡航者向け狂犬病ワクチンも底をつき始めているとのこと。やばいな、こりゃ。どうしようかなあ~、、、
獣医師の人権も考えてくれ~ (>_<) すでに一部の先生方は外国人医師が開設する医療機関でワクチンを自主的に接種しているとか。ちなみに国産の狂犬病ワクチンよりも海外製造のワクチンのほうが副作用も少なく安全性が高いとか。

3月×日(晴)        

今日はギブリちゃんママから看板犬のりーちゃんに”おひな祭りパック2007”が届きました。宅急便の宛名もなんと「菊池リシェス様」。美味しそうなマフィンなどたくさん入って、グルメなりーちゃんは「嬉しいワン♪ありがとう!」と満足そうでした。(^O^)/