皆様から届いたご相談から掲載しています。
A30.たぶん心不全に処方されているので、専用食とは低ナトリウム食のことではないでしょうか?ナトリウムイオンはほとんどが細胞外液に存在して浸透圧の維持に重要な役目を果たし、つねに水と連動しています(理論上ナトリウムイオン1mEqで水3.5ccを引っ張るんです)。したがってナトリウムを制限することでむくみや肺のうっ血の程度を軽減することが出来ます。
内服薬との併用なので効果のほどがわかりにくいのかもしれませんが、ナトリウムの制限は少なくとも循環器全体にかかる負荷を軽くすることだけはまちがいありませんから、今後も専用の処方食はつづけたほうがいいと思います。
A29.うーん、むずかしい問題ですね。オス猫の尿道に砂状結晶がつまり尿路閉塞から腎不全をきたす一連の病態はFUSと呼ばれ、発見が遅れると死ぬことすらあります。基本的に猫自身の体質に起因するものなので再発しやすいので、最も確実な再発予防策は専用の処方食を続けることなのです。
ご指摘のように、同じ食事内容だけでは飽きてくることも考えられますが、そのようなときは獣医さんと相談して処方食のメーカー(ヒルズ、ウオルサム、スペシイフィックなど)を替えてみてもいいかも。
ただし市販のものにはFUS対応をうたっているものもありますが、成分表示を比較する限り、あくまで病院処方食の方がケタ違いに良いと思います。
A28.咳には上部呼吸器の咳、下部呼吸器の咳、心臓性の咳の3種類がありますが、今回のケースは心臓性の咳の可能性があります。広い意味での循環不全が予想され、またフィラリア症でもこのような症状が高い頻度で認められますから早期に動物病院を受診されることをお勧めします。
A27.基本的に犬、猫ともに妊娠期間は62日ですが、妊娠の初期に確認できるような兆候はありません。ただし多くの場合妊娠40日齢を過ぎたあたりから乳腺の腫脹や体重増加が目立ってきますから、このような兆候を認めたら妊娠の可能性は高まります。
なお、ヒトのようなツワリや嘔吐や食欲不振はあまり明確でなく、むしろそのようなケースでは子宮内感染を疑うことがあります。もちろん確定診断には獣医師による検査が必要であることはいうまでもありません。
A26.接種部位が腫れてくる原因としては筋膜炎と肉腫が考えられます。
通常の炎症では腫れが持続することはありませんが、接種後2週間しても腫れが引かない場合あるいは活発に増殖するときには肉腫の発生が強く疑われるので早めに受診してください。実は猫はワクチンのアジュバントに含まれるアルミニウムゲルに反応して繊維肉腫をみることがあるらしいのです。なかには猫に対するすべての注射行為が肉腫発生の原因になりうると主張する研究者もいますから一応注意すべきでしょう。
A25.特定の地域を除いて、現在日常的に動物病院で扱われているワクチンは5種混合と8種混合ワクチンです。いずれもパルボ、ジステンパー、パラインフルエンザ、アデノ2型、伝染性肝炎は共通ですが、8種ではさらにコロナウイルスとレプトスピラ(2種類あります)の計3種類が追加されています。
レプトスピラの一部は人と動物の共通の病気を引き起こしますし、コロナウイルスは単独感染では毒性は低いのですがパルボと混合感染を起こすと重篤な症状を示しますので、できれば8種混合がお勧めですね。
接種時期に関しては、生後12週齢までに複数回接種、以降年1回の追加接種が原則ですが地域的な特性も考慮して主治医とよく相談してください。
また、接種後1日は安静にしてください。もし副作用が現れるとすれば接種2時間以内(アナフィラキシー)または8時間前後(Ⅲ型アレルギー)で、症状はともに顔面の腫脹です。
なおM.ダックスの一部には、家系的にアナフィラキシーを起こしやすいものがあるので要注意!
A24.多くの病院で採用されている「吸入麻酔+鎮痛剤、もしくは鎮静剤」という現在のトレンデイー ともいうべき麻酔は、極めて快適で安全性の高いものです。したがって事故の確率は非常に低く、必要以上に恐れることはありません。
私たち獣医師は、手術の前には必ず健康状態をチェックしています。また麻酔に際しては、最初から確実に気道を確保して心電図や呼吸ガスや血圧などの生体モニターを監視して安全に努めています。ご指摘のようなアレルギー体質の動物でも常に安全な麻酔・確実な処置がおこなえるように致しておりますが、実のところ特異体質ということもありうるので絶対安全とは断言出来ません。ただし、麻酔や手術に限らず、あらゆる医療行為にリスクはつきものなんです、神サマでないかぎり。
A23.一口に膀胱結石といっても、その構成成分でさまざまな種類に分かれます。犬にもっとも一般的なストラバイト結石であれば、動物病院で処方される専用処方食を与えることで結石を溶解させるこも可能です。ただし処方食を使用しても溶解できない種類の結石では、外科手術によって摘出するしか方法はありません。具体的な個々のケースでは、担当医と十分話し合われることをお勧めします。
A22.現在の猫は、今から5000年くらい前、リビア周辺の野生ネコが古代エジプト人によって馴化されて世界各地に広まりました。元来島国の日本には猫は存在せず、最初の猫は6世紀後半の仏教伝来とともに中国から日本へやってきたと言われています(ただし、ヤマネコに近い種類はいたらしい)。当初はペットというよりは、仏教の経典をネズミの害から守るというきわめて実用的な目的で輸入されたようです。
・・・最近はネズミを一度も見たことがないネコや、ネズミに驚いて家出しちゃうネコもいるとか。
A21.子犬子猫ともに6ヶ月以降ならばいつでも手術可能です。副生殖器の十分な成熟のためには生後8から9ヶ月くらい後のほうが好ましいとする先生もいますが、最新の知見では生後6ヶ月以降ではとくに心配ないようです。
また性格についてですが、特にオス犬オス猫においては、精巣から分泌されるホルモンの支配がなくなり縄張り意識や闘争本能が抑制されて多少性格が穏やかになるようです。