2018年9月〇日

本日午前3時20分、
我が家の愛犬るいーずちゃんが
逝ってしまいました。

リビングで家族の見守るなか、
16歳と5か月の大往生でした。

訳あってブリーダーさんの元を離れて、
うちの愛犬になったのが2007年の11月。

以後今日に至るまでの11年間あまり、
生活を共にしてきた、大切な家族でした。

亡くなる前日のことですが、
るーちゃんを優しく抱っこしていて、
ふと顔を見ると、上を見上げた瞳に
いっぱい涙を湛えていました。

「今まで大切にしてくれて、ありがとう。
わたしはもうすぐ旅立ちます。
別れは淋しいけど、泣かないでください。」

大きな目を精いっぱい見開いて、
そのようにうったえている気がしました。

切なくて、切なくて、
優しく涙を拭きとってみたけど、
やっぱりるーちゃんの瞳に涙が溢れてくる。
ああ、りーちゃんの時と同じだ、と思いました。
あの時も、最期の朝の酸素吸入を終えて
ふと顔を確認すると、大粒の涙を湛えて
じっと見つめられました。
その時は呼気に含まれる水分が、
吸入マスクから水滴として
偶然両目の瞼についただけかも・・・、
と一瞬思ったけど、
やっぱりお別れの涙だった。

泣きたい気持ちを抑えて、心の中で、
「るーちゃん、うちに来てくれてありがとう。
るーちゃんとの思い出は私の一生の宝物。
るーちゃんのことは生涯忘れないよ。」
そう返すのが精いっぱいでした。
今日は本当に悲しい一日でした。

2018年8月〇日

今日はうさぎのくるみちゃんとラッキーちゃんがやってきた。

全国的にはわんこの登録頭数が減っているといわれていますが、
その一方でうさぎを飼われる方は確実に増えていると思う。

うさこには、わんこ、にゃんことは異なる
草食動物の可愛さがあるんですよね~。

いま動物病院にやってくるうさこたちは、
私が子供の頃の小学校にいた様な
あの白くて赤目で顔の長いうさぎとは異なり、
みんな頭が丸くて小柄な体格です。
明らかに、人が可愛らしさを追求して
交配でつくりあげた動物、って感じです。

それだけに、様々な疾患に見舞われることが多く、
しかも小さいので、処置や治療が大変!!

意外と知られていませんが、
うさぎはヒトに良くなつきます。
性格も多彩で表情も豊かですよ。

2018年8月〇日

昨夜大河ドラマ「西郷どん」を見ました。
西郷隆盛といえば国民的なヒーロー!

官軍参謀にして初代陸軍大将に就任しており、
当然馬に乗れる身分にもかかわらず、
何故か、馬には乗らなかったという話です。
これ、西郷にまつわる謎のひとつとか。

その理由は諸説ありますが、
1) 彼自身の謙虚さゆえの美談
として伝えられる一方、
2) フィラリア感染症
も一因とわれています。

この場合、フィラリア症といっても、
もちろん犬フィラリア症ではなく、
バンクロフト糸状虫の感染による
リンパ管フィラリア症(ヒトの陰嚢水腫)。

医師ではないので詳細は知りませんが、
この疾患により騎乗が困難だったとか。
ちなみにこのヒトのフィラリア症は、
犬と同じく蚊が媒介して感染が成立し、
1954年当時の鹿児島県下では、
住民1400人余を対象にした検診で
なんと12.5%が陽性だったそうです。
(もちろん、現在国内では撲滅されています)
一方、わんこのフィラリア症は、
かつてに比べたらかなり減ってはいますが、
それでもなお撲滅されたとは言い難い状況です。
というわけで、暑い日が続きますが、
フィラリア予防薬は、蚊が終息してから後も
ひと月ないしふた月投薬することが大切です。

2018年7月31日

今年の夏は暑いですね。
都内や西日本に比べたら
避暑地軽井沢はまだまだ涼しい地域でしょうけど、
それでも日中最高気温が30度に達する日があります。

来るわんこ、にゃんこの多くが脱水気味のうえ、
動物薬のプロパーさんの勧めもあって、
脱水対策に、院内にこんなグッズを用意しました。

脱水と聞くと、とりあえず水を飲め、
みたいに思われがちですが、
同時に電解質の補給も必要です。
純粋な水分だけでは、
血液が希釈されてしまいますからね。

というわけで、ハイドロチャージは
水と電解質の効果的な補充が可能です。

おまけにかつお節とチーズのフレーバー付きとか。
なんだかお酒のおつまみみたいですね。

2018年6月17日

今日は麻酔外科・循環器・画像診断・内視鏡外科の
合同学会に行ってきました。

毎年春は大宮ソニックシティ(2日間)開催、
とほぼ決まっているので(秋は全国各地)、
軽井沢からだとアクセスが良くてちょっと嬉しい。

それだけに、例年だと2日間かけてじっくりと
気が済むまで講演を聴くのが常ですが、
今年はうちの愛犬るーちゃんが要介護状態(!)なので、
その世話もあって最終日1日だけの参加です。

るーちゃんは16歳と3ケ月齢になります。
後肢は萎えてもうほとんど歩けないので、
トイレは支えてあげなければ出来ません。

また、食事がうまく摂れなくなってきているので、
フードを上手に口に入れてあげなくてはなりません。

一緒にいるためには今まで以上に手がかかりますが、
老犬には仔犬にはない、独特の可愛さがあります。

筋力の衰えからヨボヨボ歩くが精いっぱいで、
かつてのようにもう一緒に散歩にも行けないけど、
それでも、いつまでもいつまでもそばにいてほしい、
と心から願っています。

2018年5月〇日

今日は軽井沢町の狂犬病注射に行ってきました。

毎年のどかな雰囲気の中で行われ、
注射以外についてもさまざまな相談を受けるのですが、
最近とくに多い質問は、

「まぶたに出来たこのしこり、何ですか?」
「耳にいぼ出来たけど、これって何?がん?」

というもの。

これ、ほとんど9割以上の確率でマダニの寄生、
たまにマイボーム腺腫(良性腫瘍)かな。

その場でマダニの寄生について説明すると、
おおむね以下のような会話が続きます。

「え、、年なのでイボかと思っていました。
でも、突っついても取れないんですけど?」

→確かに強固についてますね。

「どうしたらいいのかな?なんとかして!」

→予防が肝心です。

「人にも感染するの?私、だいじょうぶ?」

→ヒトも気を付けましょうね。

軽井沢はマダニが多く生息する地域です。
マダニは怖い病原体を持っていることがあり
公衆衛生上特に注意が必要ですが、
現在は効果的な予防薬があります。
予防薬には、美味しいおやつタイプや
フィラリア予防薬と一緒になった合剤まで、
様々な薬剤があります。

私は製薬会社の回し者ではありませんが、
マダニについてご存じない方も多いようなので、
あえてここに紹介してみました。
詳細は動物病院までお問合せください。

2018年4月〇日

みなさん、エキノコッカスという寄生虫をご存知ですか?

北海道に生息するキタキツネに定着していることで知られ、
人と動物の共通の病気(=人獣共通感染症)として、
公衆衛生上特に重要視されているものです。

この感染症は過去、北海道以外で発生が確認されたことは
ありませんでしたが、先月とうとう本州でも確認されて
関係者に衝撃が走りました。

それも北海道から近い青森県や秋田県ではなく、
なんと中部地方の愛知県内(詳細は下記リンク)。

愛知県の注意喚起
ちなみに私自身、4年ほど前(2014年1月24日)、
軽井沢町内にて保護されたホンドキツネについて、
町の依頼を受けてエキノコッカス検査を実施しましたが、
さいわい感染は確認されませんでした。

2018年4月〇日

今年も桜の季節になりました。

軽井沢はまだつぼみですが、
近隣の佐久や小諸では
暖かな日和が続いたせいか
例年よりもはやく開花を迎えています。

この時期桜を見ると、
愛犬りーちゃんとの闘病の日々を
思い出します。

治療にはベストを尽くしたので悔いはないし、
けっして短命でもなかったけど、
それでももう少し一緒にいたかったと思うのは
やっぱりかけがえのない家族だったから・・・。

2018年3月4日

今年も麻酔外科学会主催の東京地区講習会に
行ってきました。(*^_^*)

場所は東大の一条ホール、今回のテーマは
「おしっこが出ない!!」

大変大まかな表現ですが、講演の中心は
腎臓・尿管・膀胱・尿道のトラブルへの対処法。

ここ10年くらいで急速に進んだ尿管ステントや
海外で絶賛され導入されたSUBシステムといった
先進的なカテーテル治療を説明したうえで、
実は体内に人工物を残すことの弊害を指摘し、
注意を喚起する内容でした。
参加前てっきりこれら先進的な療法の優位性を
確認・推奨するとばかり思っていたので、
この予想外の展開にちょっと驚きました。
なかなか書籍では入手できない情報ばかり!!!

先進的な取り組みはもちろん大切ですし、
ついつい新しいものに目を奪われがちですが、
先進的な医療が必ずしも最良とは限らない・・・、
そんな当たり前のことを改めて考えさせられました。

2018年2月17日

今年も内科学アカデミーに行ってきました。

国内で開催される学会の中でも
規模の大きな学会だけに、
内容もかなり充実しており、
パシフィコ横浜まではちょっと遠いな・・・
と感じつつも、
毎年必ず参加している学会です。

今回興味を引くシンポジウムや教育講演が目白押しで、
15くらいの講演が異なる会場で同時進行しますから、
各自シラバスのタイムテーブルとにらめっこ。
人気の講演会場では満席につき立ち見は当たり前、
会場外まで人が溢れて、まったく入れないことも。

とっても有意義な一日でした。(*^_^*)