2023年10 月〇日

もう4ケ月経ちますが、じつは病院の駐車場、修繕しました。

開業以来、きれいなカラーコンクリートの駐車場でしたが、
20年の歳月を経てだいぶ汚れが目立ってきましたし、
なにより部分的ではありますがひび割れ等が生じて、
もう限界に達していました。

というわけで、
今回は機能性重視、アスファルトで施工することに。

アスファルトゆえに色までは選べませんが、
寒さの厳しい軽井沢、
カラーコンクリートよりも劣化はゆるやかなのでは、
とちょっぴり期待しています。!(^^)!

ラインも見やすくなって、飼い主さんの評価も上々。

2023年10 月〇日

道具マニアの私のお気に入りの逸品を紹介します。

下の画像は、今年学会会場のブースで見かけて購入した開創器。

開創器とは、読んで字のごとく、切開した傷(胸やおなかも)を、
開けた状態に保つ医療器具の一種。

開創器は様々なサイズ、様々な用途があって、
見ているだけでも結構楽しいものです。


2023年6 月〇日

SFTS(重症発熱性血小板減少症)という病気をご存じですか?
これはマダニが媒介する深刻なウイルス性疾患であり、
「新興感染症」、かつ「人獣共通感染症」。

従来西日本~九州地方に多いとされてきましたが、
近年はヒトや動物の移動に伴って、
また地球温暖化によるダニ生育域拡大等により
徐々に東日本に広がりつつあります。

致死率がけっこう高いにも関わらず、
ヒト・動物ともにいまだ治療法が確立されておらず、
今後の広がりが懸念される疾患です。

先日この感染を強く疑わせるにゃんこに遭遇し、
念のため国立感染症研究所に血清を送りました。
結果は陰性だったのでホッとしましたが、
県内野生のシカからは抗体が検出されていますから、
ヒトや動物での発症は時間の問題かもしれません。

感染対策としては、以下の2点に集約されます。

1)トレッキング時には肌の露出に注意すること。
2)わんこ・にゃんこは予防薬を適切に使用すること。

幸い、わんこ用に美味しいチュアブル錠がありますし、
また、猫にはマダニを含む10種の寄生虫に有効な
お薬が登場しています。

今の時期、フィラリア予防と併せて、
ノミダニ予防もお忘れなく!

2023年5 月〇日

今日はキャバリアのお友達がやってきてた。
お互いマイペースではありますが、
相手のことはちょっと気になるみたい。

可愛いでしょ (*^_^*)

仔犬との触れ合いは
仕事の疲れも吹っ飛んでしまうくらい、
とっても和みますよ。

2023年5 月〇日

今日はトイプードル(♀/3㎏)の消化管内の異物除去手術をしました。
通常異物を飲み込むわんこは若齢が一般的ではありますが、
今回は10歳とわりと高齢です。

異物による消化管閉塞は嘔吐が必発症状といいますが、
今回は部分閉塞で、飼い主さんによれば嘔吐はなかったらしい。

元気が無く、今日は食べないとの主訴で来院したため、
嘔吐がないと診断が難しくなるのですが、
腹部の触診でなんとなく違和感を覚えたので
念のため腹部エコー検査を実施しました。

すると明らかな消化管穿孔と腹膜炎を疑う所見を認めたため、
緊急の手術となった次第です。

異物はご覧の通り2個

画像左の異物は回盲結腸接合部に刺さっており、
穿孔部位に腸間膜が張り付いた状態でした(腹膜炎)。
ただ、平べったい形態なので、完全閉塞には至らず、
拡張した隙間からちょろちょろと腸内内容物が
通過していたみたい。
一方、画像右の異物は円錐形を呈しており、
幽門に詰まり気味で存在していたので、
結局消化管は2か所を切開しました。

もし腹膜炎を認めず胃内の異物だけだったら、
内視鏡処置でなんとかなったかもしれません。

ところで異物を飼い主さんに提示したところ、
「まったく心当たりがない」という。

個人的には豚耳や軟骨のおやつを
荒く咬み砕いたものと想像していましたが、
飼い主さんにもわからないとは、
今まで体験したことがありません。(@_@;)

今回は何から何まで異例の展開でした。

2023年3 月〇日

今日は風邪をこじらせたにゃんこがやって来た。
飼い主さんいわく、
「かれこれ5日は食べていない (+_+) 。」
これ以上の絶食が続いてしまうと、
「肝リピドーシス」という、
ネコ科動物特有の代謝性疾患(肝臓病)に
至る可能性が格段に高まります。


そうなる前に、確実に体力を回復させる目的で、
麻酔下で左側頸部に食道カテーテルを設置しました。

この管(=カテーテル)を設置すると、
本人(本猫?)の意思とは関係なく、
高カロリーの栄養剤を適時胃内に入れられるので、
とっても効果的です。

実際、食道にカテーテルが留置されていても、
体調が回復してくれば普通に食事もとれますし、
もう不要と判断すれば引き抜いて終わり。
そもそも「強制給餌」なんて事態は避けたいものですし、
やっぱり動物にストレスなく与えられるのはメリット大!

こんなに便利な食道カテーテルですが、
意外や意外、獣医師以外には知られていないみたい。
世間一般での認知度が低い原因としては、
多分ヒト医療で用いられることがないためかな~?
と個人的に推測しています。

ヒトは犬や猫に比べて食道が非常に短く、
食道にカテーテルを設置するくらいなら、
胃瘻を選択する、ということでしょう。
審美的な要素も加味されそうですし。

さまざまな食道カテーテルの設置方法がある中、
最近は首輪と一体化させたタイプがあるので、
私はこれを選択しています。
これ、猫に装着した姿がとってもかわいいんですよ。
ちなみに食道カテーテル、一度設置したら、
適切な管理のもとで2~3週間は使えますが、
これ以上の長期に渡る場合には、
食道カテーテルよりも、
胃瘻カテーテル(PEGチューブ)
が選択されます。

最近は胃瘻のPEGチューブを収納する
犬猫用の介護服も発売されています。
まだバリエーションがありませんが・・・。

2023年2 月〇日

今日は7か月齢になる
りーたんの避妊手術を行いました。

じぶんのわんこの手術をするのは気が重いのですが、
やっぱりこの先のことを考えると、
しないわけにはいきませんし、
うちの大事な大事なワンコですから (*^_^*) 、
他人に任せるという選択肢はありえない。
よくよく考えてみたら、
今更ながら自分が一番信用できると気づきました。
というわけで、本日決行!
実際に目的の手術がスタートすれば、
すぐに気持ちは仕事モードに切り替わります。
私としてはいつものオペとなんら変わらず、
医療安全第一に細心の注意を払いつつ
目の前の手技に専念するだけ。

一方立ち会った妻は、さすがに気疲れした様子でした。

今回避妊手術に併せて、
①臍ヘルニアの矯正と、
②残存乳歯の抜歯
も実施したため、やや時間はかかりました。

それでもその後麻酔からの覚醒はすみやかで、
どうやら手術をされた記憶はなさそう。
私も嫌われなくて済みそうで、
心底ホッとしました。!(^^)!
避妊手術が終れば、
今後もうおなかを開けることもないでしょう。
もしあるとすれば、
それは病気で開けざるを得ないとき。
そのようなことが無いように・・、と、
術後神様に祈りました。
りーたん、いつまでも健康で長生きしてね!!

2023年1 月25日

十年に一度という大寒波がやってきた。
確かに今朝は寒かった。
朝の6時で外気温がマイナス16℃ですからね。

院内の給水設備が凍結していないか、
駐車場に凍結して危ない場所はないか、
寒さの厳しい日は、朝からなにかとチェックに忙しい。((+_+))

ただ、今季の軽井沢、今のところ雪は少なめ。
これが唯一の救いかもしれません。

2023年 1 月〇日

2023年が始まりました。

年の初めには毎年目標を定めていますが、今年の目標は
「TIVAを極める!」
でいこうと思います。

一般には全くなじみのないコトバですが、
要するに麻酔方法の一種です。

全身麻酔には大きく分けて、
①吸入麻酔(麻酔ガスによる麻酔)と、
②全静脈麻酔(静脈から持続的に麻酔薬を入れる=TIVA)
の2つがあります。
当然使用する機器も下の画像のごとく異なります。

動物医療の世界で広く実施されているのは吸入麻酔ですが、
麻酔深度調整が容易な半面、手術中の低血圧を招きやすく、
吸入麻酔ガスは環境汚染やスタッフへの暴露から
問題点も少なくない麻酔です。

一方、全静脈麻酔は文字通り静脈から麻酔薬を持続的に入れて
麻酔状態を作り出しますから、環境汚染はゼロ、医療者の暴露もゼロ、
しかも血圧低下が少なく、なんと言っても麻酔覚醒が極めて穏やか。
この「覚醒の良さを味わうがためにTIVAを選択することが多い」、
と説く麻酔科医の講演を聴いたことがあります。

実際、専門医が全幅の信頼をよせるだけのことはあり、
高齢動物や全身状態の悪化した動物においてこそ
TIVAの真価がいかんなく発揮されます。
そう、じつに良いことづくめなんです。(*^_^*)

ただし、難点としては、
①吸入麻酔に比べて、麻酔計画がやや複雑であり、
②麻酔濃度の調整がガス麻酔のように容易でないこと。

ヒトでは、脳波をモニタリングすることでTIVAの麻酔深度判定を
しているようですが、動物では脳波による術中モニタリングは
現実的ではありません。

そんな状況がしばらく続き、
TIVAは麻酔専門医が好む方法ではありましたが、
一般の獣医師からみたらマイナーな存在でした。

ところが、近年麻酔薬の血中濃度変化を
経時的にグラフ化してくれるミュレーションソフトが登場
(=iphonやiPadに手軽にインストール出来る!)、
TIVAの安全性が高まり、注目されています。

事前のシミュレーションで麻酔効果を予想できる・・・。
いいですね。
これで間違いなくTIVAの安全性・有効性が担保されるでしょうし、
なんてすばらしい世の中になったんだろう!(^^)/
これを診療に取り入れないわけにはいきません。

というわけで、TIVA、
じつは私、今までも少しずつ取り入れていたのですが、
今年からはより一層、
「麻酔からの覚醒の穏やかさ(=覚醒の質)」
にこだわってみたいと思います。

2022年12 月28日

今年もあと3日あまり、
あっという間の一年、
世界がウクライナ戦争と新型コロナ
に翻弄された怒涛の寅年でした。
来る令和5年、干支はうさぎですね。
うさぎ年が動物たちにとって、皆様にとって、
よい一年でありますように!!!(*^_^*)