2月 ×日(雪)
今日はパピヨンのクリンちゃん(♂・1才)のために、紹介状を書きました。というのも、クリンちゃんは生まれつき歯列がめちゃくちゃなので歯列矯正を希望しており、当院で残存乳歯の抜歯を含む必要最低限の歯科処置を施したうえで、大学病院に矯正を依頼した次第です。
依頼先は日大松戸歯学部付属動物病院。一般にはほとんど知られていませんが、獣医界にあっては現在動物歯科医療の最高峰に位置する医療機関。
さいわい私がまだかけだしの頃から懇意にしているH先生は今も大学に在籍しており、しかもこの道の権威なので、今回も迷わずH先生に治療を依頼しました。
軽井沢と松戸ではだいぶ離れているけど、動物の歯科疾患について悩んでいる飼い主さんも多い昨今、イザという時相談できるH先生の存在は貴重です。
2月 ×日(曇)
早いもので、今年も確定申告の時期になりました。
TVをみていたら鳩山総理が「国の将来のために、みなさん納税しましょう!」とうたっていましたが、与謝野元財務大臣に「平成の脱税王」と揶揄される人が言うのだから、ほとんどギャグの世界です。
ところで私たち開業医は、ほとんどの場合税理士や公認会計士に税務関係の業務を依頼しているので、直接税務署に出向くことはありません。税務のプロである税理士や公認会計士にすべて一任し、その指導のもと1円の間違いもなくきちんと納税する、というのが最も一般的なスタイルです。
ただ、それでも税務当局の開業医に対する態度は非常に厳しく、よほどの零細病院(?)でない限り、一定期間での税務調査は避けられません。
もっとも、私などなにも隠し立てするようなものはありませんから、どんなに調べられてもかまわないのですが、それでも他人に銀行口座等をくまなく覗かれるのは正直気持ちのいいものではありません。
それだけに、鳩山さんのように、12億円もの巨額の資金移動があるにもかかわらず、いままで税務調査を受けずに済んできたこと自体に、なんらかの作為を感じてしまうのは私だけでしょうか。
2月 ×日(雪)
久しぶりに、東大動物医療センターに行くことになりました。
普段私を含めスタッフが直接東大に動物を連れていくことはありませんが、特別な事情があって飼い主さん自身がどうしても東大まで連れていけない場合に限り、当院では、当院スタッフが代行して受診をサポートします。
このような時は大概AHTスタッフに出向してもらうのですが、今回術後から退院後しばらくの間、かなり特殊な理学療法を必要とするケースなので、退院時念のため私が行くことになりました。
ところで、近年獣医療における理学療法の進歩にはめざましいものがあります。以前は整形外科の一分野みたいな位置づけでしたが、2年ほど前米国獣医界がその有効性・必要性を認めて以来、日本国内でもがん治療と並ぶホットな分野になりつつあります。
さすがに日本の獣医界ではまだヒトの医療のような理学療法士(PT)は存在しませんが、米国では獣医整形外科医の多くがこの資格も保有しているようです。獣医学に関するかぎり、米国の優位は今後もゆるぎないものなのだろう。
2月 3日(晴)
今日は節分です。
近くのスーパーで福引があったそうで、家人がくじを引いたところ
なんと特等!大きな赤いダルマさんと副賞の商品券をGET!
ダルマさんにもシートベルトを締めて、助手席に大事に大事に乗せて帰ってきた。こんな大きなダルマさんを手に入れたのははじめてかもしれない。さっそく神棚に飾りました。
最近はダルマさん自体目にする機会が減っている気がします。そういえば、当院を建ててくれたゼネコンの担当者も、「最近は神棚を設置しない家も結構増えているんですよー」と言ってたっけ。

もっとも、東京都内で代診をしていた頃、往診先で大きな大きなダルマさんを見たことがありました。ただし、赤いダルマさんではなく、真っ黒のダルマさんで、中央に金文字で●●会。
通された部屋を見渡すと、黒ダルマさんに混じって数々の提灯が飾られておりビックリ。そっか、ここは某団体の関係先(組事務所?)なんだ・・・とひとり納得。
以来黒いダルマさんには一度もお目にかかることなく今日に至っています。黒いダルマさんは特注だけに思いっきりスタイリッシュで威厳に満ちていたけど、やっぱり私は従来の赤いダルマさんが好きです。
ちなみに最近は白や黄色、金色のダルマさんも増えてきたと言われていますが、そもそも赤い色には魔よけの効果があるとか。黒はないみたい。
いらっしゃい、ダルマさん、今年も早々に縁起がいい!
1月 ×日(晴)
ビートたけしと安住アナの出ているニュースショー番組を見ていたら、ある女優さんが都内のイケメン獣医師と交際中と報道していました。聞くところによると、どうやら大学の後輩らしい。ほう、新年早々おめでたいことです。
お幸せに~(^_^)
ところで私も高校生の頃、本気で「映画俳優になりたい!」と考えたことがありますから、俳優とか女優という仕事には、正直今でも心惹かれるものがあります。ただ、こういう話をすると、大概冗談と思われてしまうんですよね~。
ちなみに私の好きな俳優は西田敏行や原田芳雄のような演技派。
かつてTVドラマ「白い巨塔」で見せた西田敏行の産婦人科医役はいい味を醸しだしていてさすがでした。
また最近では、TVドラマ「不毛地帯」における原田芳雄演じる大門社長役も、主役の壱岐正役を演じる唐沢寿明をくっちゃう仕事ぶり。圧巻です。

必ずしも輪廻転生を信奉しているわけではないけど、もし生まれ変わることがあったら、来世では、私、絶対俳優にチャレンジしたいと思う。
1月 ×日(晴)
久しぶりに東京ミッドタウンに行きました。今日は、この1階にあるフジフイルム本社にて、ダニー・ブロックマン教授(ロンドン大学王立獣医学校)の講演です。
予定より早く着いたので、午後の聴講を前に昼食をとりたくなりました。さいわい階下のフードコーナーにはおいしいカレーのお店「デリー」があります。
というわけで、本日の昼食はデリーに決定!
ここで最強の辛さを誇ると評判のカシミールカレーをオーダーしたところ、待つこと15分、まるでスープのようなカレーが出てきた。
見た目は普通ですが、一口食べてみたら、これが恐ろしいくらいの激辛!普通のインドカレーが砂糖に思えたくらい(@_@;)
しかし辛いだけじゃなくてたしかに美味しい。さまざまな香辛料の香りがして奥深い味わい。
ああ、あまりの辛さで自律神経のバランスが崩れそう~~~。食べ終わる頃には顔面だけに汗をかき(なぜか体には汗をかかない。不思議)アタマがクラクラして、なんと舌の先端までビリビリ痺れてきた。大丈夫かな、オレ。
さすがにこれだけ辛いものを食べると、食後の眠気なんてぶっとんじゃって、意外に講義に集中できることを発見!本日は午後1時から5時まできっちり勉強できました。\(~o~)/
1月 ×日(晴)
今日はミニチュアダックスのクレバーちゃん(♀・3歳)が激しい嘔吐を主訴としてやってきた。飼い主さんいわく、「噴射状に戻してしまう!」、とのことで、来院当初は幽門の狭窄か幽門痙攣を想定して手術の準備までしておりましたが、しつこいくらい徹底的に検査をしてみたら、なんとこれが「嘔吐」ではなく「吐出」。
「嘔吐」と「吐出」は一見似ていますが、実はまったく異なる仕組みです。
「吐出」を実際の画像で確認すると、極度の食道拡張があって(巨大食道もしくは食道憩室)、まだ胃に達する前の食事内容が食道にたまっており、これを受動的に吐いている状態。
ただ、ミニチュア・ダックスの巨大食道はじつは重症筋無力症による症状のひとつであることがあり、診断には他の犬種に比べ細心の注意が必要です。
さいわいクレバーちゃんの全身状態は必ずしも緊急を要するほど衰弱していないので、しばらくは定石どおりの「立位の食事」で様子をみることになりますが、ゆくゆくは大学での詳細な検討が必要になるかもしれません。
それにしても、ミニチュア・ダックスは扱いの難しい病気が多いですね。
2010年 1月 ×日(晴)
今年の干支はトラ、さすがに私自身はトラを診療することはありませんが、過去においてトラの診療に携わっていたドクターが2人ほどいます(いずれも大学の先輩)。
ひとりは千葉のマザー牧場近くのお寺で飼われていた、あのトラ騒動(ずいぶん古い話です)のトラを診ていました。そしてもうひとりは、たしか野毛山動物園に関係していた先輩だったと思う。
こちらの先生、もしかしたら相手はトラじゃなくてライオンだったかもしれない。いずれにせよ、先輩がネコ科の大型猛獣にケタミンを注射して(もちろん麻酔銃で!)さまざまな外科処置を施していた記憶があります。
ケタミンは、昨年末某歌手が違法に所持・使用したかどで逮捕されて有名になりましたが、今でも「ネコ科動物の最も信頼のおける不動化薬」といわれるだけあって、よく効くんです。トラやライオンも投与後5分でコロっと寝込んじゃいますからね~。
ところで野毛山動物園といえば、その近くに、あのキタナミシュランで有名な餃子の美味しいお店があるとか。店の主人のキャラクターがとんねるず石橋のキャラを凌駕していただけに、料理もさることながら、あの主人のキャラを求めてぜひ一度行ってみた~~~い!(~o~)
12月 ×日(晴)
今日はトイプードルの仔犬、クララちゃん(6ヵ月齢・♀)がやってきた。最近元気がなくて、今朝は失神したとのこと。ディフェレンタルチアノーゼを示しているため、重篤な心疾患を患っていることは間違いなし。慎重に心エコーで確認すると、どうやらPDA(動脈管開存症)みたい。これは仔犬に多い心臓の奇形です。(>_<)
やばいな、こりゃ。はやく穴をふさがなきゃ体が持ちません。もっとも安全確実な方法は、レントゲン透視下で血管からコイルを入れて穴をふさぐこと。いわゆるインターベンショナルラジオロジーの出番です。

ただここまで行くと、個人開業医のレベルを超えるワザですから、診断は下せても治療は大学病院に依頼せざるを得ません。 年末だけに、大学病院も入院を伴う予約診療には限られた枠しかありませんが、、そこは長~い長~い付き合いです、なんとかかんとか緊急の理由を並べて無理をいって、2日後に外科の予約を取りました。(~o~) 自分でも大学に対して「ワガママ言って悪いな」と自覚をしていますが、少なくとも私を信頼して頼ってくる飼い主さんの希望だけはなにがなんでも応えたいと思うとこうなっちゃうんです。 m(__)m クララちゃんが元気な姿で2010年を迎えられますように!!!
12月 ×日(雨)
早いもので今年も残すところあと半月、あっという間の1年でした。毎年年末になると、今度こそはゆっくり休みたいなあ~、と願うのですが、なぜか毎年12月半ばから30日あたりの後半は重篤な疾患を抱えて病院はてんやわんや。
今年もすでに10日すぎから重症のワンコ、ニャンコがぞくぞくとやってきています。
ここ数日は、拡張型心筋症(=おそらく遺伝性)、尿管結石(猫)、膵炎(=なぜかシェルティーに多い)、急性腎不全(シーズー)、胆嚢粘液のう腫(=オペのタイミングが難しい)、アジソンクリーゼ(=最初の処置を誤ると危ない!)・・・、もうなんでもありといった様相。
忙しい時に限って、対応の難しい疾患ばかりが重なってくるから不思議です。
毎年「今年こそは仕事の緊張から解き放たれて、静かに安らかな気持ちで年末年始を過ごしたい!」と願うけど、この仕事をしているかぎり、そんなワガママは許されないのかなあ。