3月 ×日(晴)
送別会
今日は送別会です。
長らく当院でトリミング業務に専心してくれたスタッフのひとりがこの春独立して、夢だったトリミングサロンを開業するはこびになり、今月末で退社です。
下の画像は、彼女のすきなイタリアンで、彼女の将来を祝して、みんなで乾杯したところ。
彼女は開業当初からのメンバー(6年間勤めてくれました)だけに、ちょっと寂しくなります。(-_-;)
みんな仲が良くて今日まで最強・最高のメンバーで来たけど、今後機会を得て、彼女の代わりが務まるくらいの優秀なスタッフを探さねば・・・。
3月 ×日(晴)
椎間板ヘルニア・・・その②
きょうはミニチュアダックスの海老蔵ちゃん(♂・3歳・obey
! )がやってきた。数日前に電話で相談があった子で、「下半身に全く力が入らない、おしっこもままならない・・・」とか。
聞けば発症したのは3週間前で、近くの病院で椎間板ヘルニアの可能性を指摘され投薬を受けていたものの、改善の兆しもなく、さじを投げられた格好。
やばいな、こりゃ。本当に椎間板疾患とすれば、時間的な経過から手術のタイミングを逸している可能性が高そう。確実な回復を願うなら、理想的には急性期から24時間以内が手術の適期。
実際検査で確認すると、T13-L1間・L1-L2間に椎間板の逸脱による神経圧迫(椎間板のヘルニア)が認められました。ここって、ダックスの椎間板ヘルニアの70%はこのエリアに発生するといわれる「超危険領域」。なんと海老蔵ちゃんは典型例にはまっている!
こうなってしまった以上、回復の可能性を期待できる治療は外科手術しかありませんが、麻痺の経過が長いだけに、たとえ手術がうまくいっても、神経機能が十分に回復しない(=後足の麻痺や膀胱の麻痺等後遺症が残る)可能性も考えられます。もちろん前述のキャバリアちゃんのように、処置が早けりゃ回復の可能性も高いのですが・・・。
海老蔵ちゃんの場合、発症時期を考慮すると現段階で手術での機能回復はどう贔屓目に見ても50%以下といったところでしょうか・・・。(>_<) こういうケースはどんなに細部にわたって説明を受けても、飼い主さん自身判断に苦しむところと想像しますが、獣医師側としても本当に本当に悩むところです。 なぜなら、時期を逸した椎間板ヘルニアの手術は、骨折の整復手術のように、飼い主さんに対して「手術の成功=完全な機能回復」を約束できませんから・・・・。かといって、諦めるには実に惜しい状態。 海老蔵ちゃんの今後が心配・・・。(-_-;)
3月 ×日(雪)
椎間板ヘルニア・・・その①
まずはこの画像を見てください。
現在当院で椎間板ヘルニアの術後リハビリ中の子です。
椎間板ヘルニアは術後劇的に改善するワンコがいる一方で、高齢で発症したり、ほかに重い病気を抱えている子では、回復に時間のかかるケース(=平均2ケ月前後)も珍しくありません。
画像の子も当初リハビリは2ケ月くらい必要かと思われましたが、きついリハビリにもよく耐えてくれて、治療に協力的なこともあって、ほぼ3週間でわずか2、3歩ですが、なんとか歩けるまでに回復しました。
全快までもう少しの辛抱です
当初歩けなかった子が歩けるようになる過程はとてもコトバでは言い表せないほど感動的で、毎度のことながら獣医師になって本当に良かったと思う瞬間でもあります。
2月 ×日(雪)
今日はパピヨンのクリンちゃん(♂・1才)のために、紹介状を書きました。というのも、クリンちゃんは生まれつき歯列がめちゃくちゃなので歯列矯正を希望しており、当院で残存乳歯の抜歯を含む必要最低限の歯科処置を施したうえで、大学病院に矯正を依頼した次第です。
依頼先は日大松戸歯学部付属動物病院。一般にはほとんど知られていませんが、獣医界にあっては現在動物歯科医療の最高峰に位置する医療機関。
さいわい私がまだかけだしの頃から懇意にしているH先生は今も大学に在籍しており、しかもこの道の権威なので、今回も迷わずH先生に治療を依頼しました。
軽井沢と松戸ではだいぶ離れているけど、動物の歯科疾患について悩んでいる飼い主さんも多い昨今、イザという時相談できるH先生の存在は貴重です。
2月 ×日(曇)
早いもので、今年も確定申告の時期になりました。
TVをみていたら鳩山総理が「国の将来のために、みなさん納税しましょう!」とうたっていましたが、与謝野元財務大臣に「平成の脱税王」と揶揄される人が言うのだから、ほとんどギャグの世界です。
ところで私たち開業医は、ほとんどの場合税理士や公認会計士に税務関係の業務を依頼しているので、直接税務署に出向くことはありません。税務のプロである税理士や公認会計士にすべて一任し、その指導のもと1円の間違いもなくきちんと納税する、というのが最も一般的なスタイルです。
ただ、それでも税務当局の開業医に対する態度は非常に厳しく、よほどの零細病院(?)でない限り、一定期間での税務調査は避けられません。
もっとも、私などなにも隠し立てするようなものはありませんから、どんなに調べられてもかまわないのですが、それでも他人に銀行口座等をくまなく覗かれるのは正直気持ちのいいものではありません。
それだけに、鳩山さんのように、12億円もの巨額の資金移動があるにもかかわらず、いままで税務調査を受けずに済んできたこと自体に、なんらかの作為を感じてしまうのは私だけでしょうか。
2月 ×日(雪)
久しぶりに、東大動物医療センターに行くことになりました。
普段私を含めスタッフが直接東大に動物を連れていくことはありませんが、特別な事情があって飼い主さん自身がどうしても東大まで連れていけない場合に限り、当院では、当院スタッフが代行して受診をサポートします。
このような時は大概AHTスタッフに出向してもらうのですが、今回術後から退院後しばらくの間、かなり特殊な理学療法を必要とするケースなので、退院時念のため私が行くことになりました。
ところで、近年獣医療における理学療法の進歩にはめざましいものがあります。以前は整形外科の一分野みたいな位置づけでしたが、2年ほど前米国獣医界がその有効性・必要性を認めて以来、日本国内でもがん治療と並ぶホットな分野になりつつあります。
さすがに日本の獣医界ではまだヒトの医療のような理学療法士(PT)は存在しませんが、米国では獣医整形外科医の多くがこの資格も保有しているようです。獣医学に関するかぎり、米国の優位は今後もゆるぎないものなのだろう。
2月 3日(晴)
今日は節分です。
近くのスーパーで福引があったそうで、家人がくじを引いたところ
なんと特等!大きな赤いダルマさんと副賞の商品券をGET!
ダルマさんにもシートベルトを締めて、助手席に大事に大事に乗せて帰ってきた。こんな大きなダルマさんを手に入れたのははじめてかもしれない。さっそく神棚に飾りました。
最近はダルマさん自体目にする機会が減っている気がします。そういえば、当院を建ててくれたゼネコンの担当者も、「最近は神棚を設置しない家も結構増えているんですよー」と言ってたっけ。
もっとも、東京都内で代診をしていた頃、往診先で大きな大きなダルマさんを見たことがありました。ただし、赤いダルマさんではなく、真っ黒のダルマさんで、中央に金文字で●●会。
通された部屋を見渡すと、黒ダルマさんに混じって数々の提灯が飾られておりビックリ。そっか、ここは某団体の関係先(組事務所?)なんだ・・・とひとり納得。
以来黒いダルマさんには一度もお目にかかることなく今日に至っています。黒いダルマさんは特注だけに思いっきりスタイリッシュで威厳に満ちていたけど、やっぱり私は従来の赤いダルマさんが好きです。
ちなみに最近は白や黄色、金色のダルマさんも増えてきたと言われていますが、そもそも赤い色には魔よけの効果があるとか。黒はないみたい。
いらっしゃい、ダルマさん、今年も早々に縁起がいい!
1月 ×日(晴)
ビートたけしと安住アナの出ているニュースショー番組を見ていたら、ある女優さんが都内のイケメン獣医師と交際中と報道していました。聞くところによると、どうやら大学の後輩らしい。ほう、新年早々おめでたいことです。
お幸せに~(^_^)
ところで私も高校生の頃、本気で「映画俳優になりたい!」と考えたことがありますから、俳優とか女優という仕事には、正直今でも心惹かれるものがあります。ただ、こういう話をすると、大概冗談と思われてしまうんですよね~。
ちなみに私の好きな俳優は西田敏行や原田芳雄のような演技派。
かつてTVドラマ「白い巨塔」で見せた西田敏行の産婦人科医役はいい味を醸しだしていてさすがでした。
また最近では、TVドラマ「不毛地帯」における原田芳雄演じる大門社長役も、主役の壱岐正役を演じる唐沢寿明をくっちゃう仕事ぶり。圧巻です。
必ずしも輪廻転生を信奉しているわけではないけど、もし生まれ変わることがあったら、来世では、私、絶対俳優にチャレンジしたいと思う。
1月 ×日(晴)
久しぶりに東京ミッドタウンに行きました。今日は、この1階にあるフジフイルム本社にて、ダニー・ブロックマン教授(ロンドン大学王立獣医学校)の講演です。
予定より早く着いたので、午後の聴講を前に昼食をとりたくなりました。さいわい階下のフードコーナーにはおいしいカレーのお店「デリー」があります。
というわけで、本日の昼食はデリーに決定!
ここで最強の辛さを誇ると評判のカシミールカレーをオーダーしたところ、待つこと15分、まるでスープのようなカレーが出てきた。
見た目は普通ですが、一口食べてみたら、これが恐ろしいくらいの激辛!普通のインドカレーが砂糖に思えたくらい(@_@;)
しかし辛いだけじゃなくてたしかに美味しい。さまざまな香辛料の香りがして奥深い味わい。
ああ、あまりの辛さで自律神経のバランスが崩れそう~~~。食べ終わる頃には顔面だけに汗をかき(なぜか体には汗をかかない。不思議)アタマがクラクラして、なんと舌の先端までビリビリ痺れてきた。大丈夫かな、オレ。
さすがにこれだけ辛いものを食べると、食後の眠気なんてぶっとんじゃって、意外に講義に集中できることを発見!本日は午後1時から5時まできっちり勉強できました。\(~o~)/
1月 ×日(晴)
今日はミニチュアダックスのクレバーちゃん(♀・3歳)が激しい嘔吐を主訴としてやってきた。飼い主さんいわく、「噴射状に戻してしまう!」、とのことで、来院当初は幽門の狭窄か幽門痙攣を想定して手術の準備までしておりましたが、しつこいくらい徹底的に検査をしてみたら、なんとこれが「嘔吐」ではなく「吐出」。
「嘔吐」と「吐出」は一見似ていますが、実はまったく異なる仕組みです。
「吐出」を実際の画像で確認すると、極度の食道拡張があって(巨大食道もしくは食道憩室)、まだ胃に達する前の食事内容が食道にたまっており、これを受動的に吐いている状態。
ただ、ミニチュア・ダックスの巨大食道はじつは重症筋無力症による症状のひとつであることがあり、診断には他の犬種に比べ細心の注意が必要です。
さいわいクレバーちゃんの全身状態は必ずしも緊急を要するほど衰弱していないので、しばらくは定石どおりの「立位の食事」で様子をみることになりますが、ゆくゆくは大学での詳細な検討が必要になるかもしれません。
それにしても、ミニチュア・ダックスは扱いの難しい病気が多いですね。