2019年8月〇日
早朝から広報車みたいなのが走って騒々しいと思ったら、
なんと近くで熊の目撃があって、注意を促していたらしい。
今年は軽井沢、クマの目撃情報多いんですよね。
そういえば先日、うちの斜め前のホテルマロウドに
子熊がご丁寧にも玄関から自動ドアを通り厨房に至り、
美味しい食材をごちそうになっていたとか。
子熊と言えども危険なので、すぐに駆除されたみたいです。
ちょうどそのころ、私は入院中のわんこの世話をしており、
散歩を兼ねて病院前に連れ出していた頃だったので、
後で事情を知って、大変驚きました。
わんこ散歩中に遭遇しなくて本当に良かった~。
ヒグマじゃない、ツキノワグマだろうけど、クマはクマ。
本州最大の猛獣ですから、気をつけねばなりません。
吉村昭の小説「羆嵐」を思い出しました。
この小説、小説の形をとっていますが、ほぼ実話。
大正時代、北海道開拓民の集落がヒグマに襲われて、
食害にあうという凄惨な事件(三毛別ヒグマ事件)をもとに
描かれています。
キツネにタヌキ、ムササビ、イノシシ、サル、カモシカ等は、
軽井沢ではよく見かけるし、けっして珍しくありませんが、
さすがにクマだけは気を付けようと思いました。
2019年5月〇日
今日は柴犬のマサル君がやってきた。
甘えん坊のマサル君は、お留守番がきらいらしく、
半日に及ぶ留守中に怒りを爆発させて、
なんと自分のハーネスをかみ砕いて、
その一部を食べてしまいました。
異物を食べるという悪いくせがあっても
今まで大事に至ることがなかったので
飼い主さんは軽く考えていたみたいですが、
その日の夜から激しい嘔吐が始まり、
心配した飼い主さんが緊急で連れてきました。
レントゲン撮影で確認したところ、
案の定異物が確認されました。
最終的には内視鏡で異物を摘出できたので、
おなかを切ることなく、最小限の処置で
事なきを得ましたが、最悪開腹手術も考えられた
危険なケースです。
最近はハーネスを利用される飼い主さんも
多く見受けられますが、今回のような例に遭遇すると
散歩以外では外しておくほうがいいのかな・・・、
と思いました。
2019年5月〇日
下に示した画像2枚は、以前内視鏡操作のブラッシュアップ用に
個人で作成したわんこの消化器の模型です。
一般に「マーゲンモデル」と呼ばれるもので、
「食道噴門部→胃→幽門部」までを、外部・内部構造を含め
忠実に再現しています。
通常医療機器メーカーが依頼を受けて受注生産するものですが、
なんとなく作れそうな気がしたので、挑戦してみました。
先日医療機器の関係者が来た際、処置室でこれをたまたま目にして
あまりに褒めちぎってくれるので、ここに公開することにしました。
褒められること自体、悪い気はしないんだけど、
これって、お世辞でほめてくれるのかな・・・?
材質はお湯で温めると柔らかく透明になるプラスチック粘土で、
温度が低下すると硬化して白く不透明になる特性があります。
適当に色を付けることもできるので作成過程も結構楽しい。
(というか、作る過程こそが楽しいのかも)
しかも再度温めると柔らかくなるし、お湯以外の方法として、
ドライヤーの熱風を当てることで局所的に簡単に変形も修正も可。
ネットで検索すると、これでリアルな食品模型を作るツワモノもいるとか。
私も一度「モーニングセット」にトライしてみようかな。
2019年5月〇日
日頃動物病院には、飼い主さん以外にも
さまざまな業種の方が出入りしています。
製薬会社や医療機器の営業職はその代表ですが、
先日その関連業種の方から興味深いお話が聞けました。
この時期の新入社員に
曰く、「会話の弾むさしすせそ(営業編?)」があるという。
さ:さすがですね~!
し:知らなかったです!!
す:すごいですね~!
せ:センスいいですね~!
そ:そうなんですか!!
なんだか笑点の大喜利みたいな相づちです。
ちょっと軽薄な受け答えだな、とは思いましたが、
相手との心理的な距離を縮めるために
対人関係に不慣れな新人にはいいのかも。
一方「残念なさしすせそ(病院編?)」というのもあって、
じつはこちらの方が意味深かな、と思いました。
曰く、
さ:さきほどもお聞きしましたが・・・
し:失礼ながら申し上げます。
す:すでに先生もご存知とは思いますが・・・
せ:先生のおっしゃることはよくわかりますが・・・
そ:そのようなことは致しかねます。
営業職の努力と悲哀が伝わってくるような話です。
新人のみなさん、新入社員のみなさん、
がんばってください。(*^_^*)
2019年4月〇日
獣医師にとって、春の到来を告げるといわれる、
桜じゃなくて、狂犬病予防注射の季節になりました。
一年なんて、あっという間ですね。
ところで狂犬病の日本への侵入リスクが
どれくらいか、ご存知ですか?
2年ほど前になりますが
英国動植物獣医学研究所開発のリスク計算式を、
日本の状況に合わせて合理的に計算した
東大大学院の研究者がおり、その結果が
横浜の学会で発表されて、注目をあびました。
まず基本的な事実として、
日本には現在毎年1万頭の犬と猫が輸入され、
加えて在日米軍関係で1000~2000頭の犬と猫が
輸入されています。意外と多いんですね。
これらの数値をベースに、
前出の先生の計算によれば
現在日本への輸出ルール、すなわち
1)輸出国での2回のワクチン接種
2)抗体検査
3)180日の待機
が厳密に施行されるとすると
侵入リスクは49444年に1回となるそうです。
一方、法律を遵守しない者が20%いるとすると、
そのリスクは249年に1回(約200倍)に激増する
そうです。
いずれにせよ、計算上のリスクは低そうだけど、
一人でも狂犬病による犠牲者を出さないためには、
(狂犬病はあらゆる哺乳類に感染する疾病です)
獣医師として啓発活動に励むことはもちろん、
愛犬家の方々にはきちんと予防接種を受けて
いただく、ということでしょうか。
ところで、以前はロシア船からの不法上陸犬による
侵入リスク(新潟や北海道)が危惧されていましたが、
前出の計算で現在は侵入リスクが108万年に1回まで
著しく低下しているそうです。
ここからは私の推測ですが、
ロシアでは、クリミア併合以来欧米諸国による
経済制裁によって、従来中古の日本車を買い付けに
来ていたロシア船等が激減したことが原因ではないでしょうか。
2019年4月1日
ご存知のとおり、今日は元号「令和」が発表されました。
平成時代ももうすぐ終わりなんですね。
たしか私が大学6年生の時平成への改元があり、
研究室のTVの前、数人で小渕官房長官の発表を
見ていたのを鮮明に思い出しました。
獣医学部は6年制なので、この段階で自動的に
昭和で大学に入学して平成で卒業を迎える、
ということになりました。
当初、平成という元号には慣れませんでしたが、
獣医師免許に記載された獣医師登録年月日に、
「平成〇年〇月〇日」と記載してあるのを見たとき、
社会人としての自覚と喜びを感じるとともに、
改めて新しい時代が始まるんだな、と実感しました。
新しい元号「令和」は万葉集に由来するとか。
素敵なひびきですね。個人的にはいいと思う。
まだ慣れませんが、今後どんな時に自分が
新時代「令和」の到来を実感できるのか、
少し楽しみが増えた気がします。
ちなみに私は今、運転免許証の更新中!
新しい免許には「令和」が記載されているのかな?
2019年3月〇日
1年ぶりに数日間のお休みをとりました。
というのも、休診日といえども入院患者のいる日は
患者の状態をしっかり診なければなりませんし、
ほとんどは処置等があって、まず出かけられません。
昨今引きこもりが社会問題化していますが、
よく考えてみたら、私自身も仕事の延長線上で
「院内引きこもり状態?」です。
自分で選んだ道とはいえ、これ大変なんです。
せめて年に1回くらいは外の世界を見たい、
思考も内向きになって精神衛生上良くないし。
というわけで、なんとか予定をやりくりして、
昨年に続き、美術館巡りの旅行に行きました。
久しぶりの遠出は、とっても楽しかったです。
こころやすまる数日間でした。
ところで旅行中あるカフェで休んだ時、
こんな紅茶を見つけました。
アールグレイなんだけど、名前が奇抜!
“MONKEY’S WEDDING”
なぜ、なぜ、おさるの結婚式なの?
ご存知の方、おられましたら教えてください。
ちなみに年に一回程度ではありますが、
わたし、おさるも診ています。
おさるにえにしを感じました。
PS
その後“MONKEY’S WEDDING”につきましては、
ある方から、たぶん「狐の嫁入り」のことですよ、
と教えていただきました。
なーるへそ、そうなんだ。 (^_-)-☆
ただ、なぜ紅茶にあえてこのようなネーミングを
しているのかはよくわからない、
とのことでした。
2019年2月〇日
膵炎治療の新薬発売を記念したセミナーに行ってきました。
この新薬、かつてヒト用として研究・開発されていたものが、
製薬業界再編の波にもまれて一旦消えてから、
研究開発者たちの努力と執念で、
改めて動物薬の世界で発売になった変わり種。
ここまでだったらいくらもありそうな話ですが、
このお薬はその作用機序-特定の白血球の遊走を
選択的に阻害する-が、世界にも例のないもので、
膵炎治療のブレークスルーとなりうるもの。
このユニークな作用機序から、今後様々な疾患への
応用も期待できそうです。
なにより、
「世界初、日本初、まったく新しい発想の薬」
というのがいいですね。
現在日本でしか入手出来ない薬ですが、
来年には米国で認可され、2年後には欧州での
発売が予定されているとか。
2019年2月〇日
今日は毎年この時期みなとみらいで開催される
獣医内科学アカデミーに行ってきました。
じつは年末楽しみにしていたセミナー、
いざ行こうとしたら、新幹線の変電所トラブルで
運行が停止、最終的に出席を見送りの憂き目に
あっていたので、今回もちょっとだけ心配したけど、
難なく行けました。
先週から愛知や岐阜で豚コレラが連続して発生しており、
地域によっては応援に駆り出される先生方もいたようで(T_T)、
今年のセミナーは、例年より参加者が少ない様な気がしました。
駆り出された先生方は、精神的にもかなりつらかったみたいです。
ご苦労様でした。
2019年1月〇日
みなさん初夢は見ましたか?
初夢とは
①12月31日夜に見る夢だという説と、
②元日の夜寝てから見る夢であるという説、
③すでに新年を迎えてから初めて見る夢、
という、3つの説があるそうです。
ちなみにこの③が正しい説ならば、
私は初夢を見たことになります。
初夢は、獣医師国家試験に関するもので、
出題された問題の正答が絞れず(問題は5択)、
おろおろと困っている夢でした。
もう免許を取得してかなり経つのにね。
国試に関する夢は年に2,3回見ますが、
細部は遅刻しそうだったり、写真判定の図が
無かったり、会場で迷ったり等々様々ですが、
見る時期は冬~春ばかりなので、この時期
受験報道が多くなることと関係あるのかな、
と個人的には考えてしまいます。
国試の夢を見るたびに思い出すのは、
その頃ある先生に言われた
「獣医師の仕事は、とくに臨床は、
どんなに多くの経験を積んでも、
どんなに勉強に励んでも、
わからないことはなくならない」
という言葉です。
獣医学が自然科学に根差している以上、
解明されていないことが存在するのは
ある意味当然といえば当然でしょうが、
優秀かつ経験豊富なその先生の言葉に、
駆け出し当時の私は衝撃を受けました。
私自身はこの言葉の意味を、
「獣医師として臨床に携わる以上、
新たに学ぶことを怠ってはならない!」
という戒めの意味に解釈しています。
年の初めに見る夢としては、
富士も鷹もなすびもありませんでしたが、
実はいい夢だったのかもしれません。